デフレ脱却と内需拡大への道 ~ Vol.2
2022.01.27
VOL.02 資本主義経済の成熟化とその終焉

内需は拡大しないのではなく、生まれた時からモノに満ち溢れた生活を送っている現代においては、欲しいモノがない、というのが実情ではなかろうか。

個人的にみても、今どうしても欲しいというモノは、なかなか思い浮かばない。

消費経済は成熟化してしまい、今後消費が大きく伸びることは期待できない。


未だに大量生産・大量消費を夢見ているが、大量生産を維持する為には、今まで以上により早く、より大量に、モノを捨てなければならない。

しかし、地球環境の問題を考えれば、大量の産業廃棄物を受け入れる余地は極めて少なく、環境負荷の面からも、大量生産・大量消費は受け入れ難くなりつつある。


その一方で、我が国の人口構造は急速に高齢化しており、少子化と相まって、消費人口が将来とも持続的に増加する方向にはない。

需要面でも環境面においても、これまで以上の大量生産・大量消費は困難であり、単純にモノさえ売れれば良いというような内需拡大は、無理と考えるべきである。

2022.01.27 15:41 | 固定リンク | 鑑定雑感
デフレ脱却と内需拡大への道 ~ Vol.1
2022.01.20
VOL.01 内需は何故拡大しないのか

 内需不振に陥ってから、二十年余りが過ぎようとしている。

公共事業等による経済のテコ入れを行っても、依然として内需は拡大しない状況に、官民あげて不満が高まっている。


ところで、何故内需は拡大しないのであろうか。


一般的には、景気低迷に伴う企業倒産、リストラや非正規労働者の増加等により勤労者の所得水準が低迷していることの他に、将来に対する不安から買い控え行動に出ているといわれているが、果たしてそれだけであろうか。

 戦後の焼跡から急速に復活した日本経済には、目を見張るものがあった。

 この時代はとにかくモノのない時代で、どんなモノであれ作れば売れた時代であったし、国民も頑張ってモノを貪欲に買おうとした時代であった。
大量生産と大量消費が見事にマッチングし、人々はガムシャラに働いた時代でもある。

家電業界における生活必需品の地位を占め、最初の三種の神器といわれたのはテレビ・冷蔵庫・洗濯機であった。
 現在、この三つが揃っていない家庭を探すのは難しい。

 しかし、つい40年ほど前は、これらはないのが当たり前の時代であった。

 また、かつては腕時計は月給以上の高価なものであったが、今は 1,000円位から上は100万単位のものまで千差万別であるが、腕時計を買うのに、かつてのように貴重品として考える人は少ない。
 マイカーにしたところで同じある。

 衣料品をみれば、一年に一度も袖を通さない服の、何と多いことか。

今や買うことより捨てることの方に気を使う時代になった。
 考えてみれば幸せな時代である。
2022.01.20 15:31 | 固定リンク | 鑑定雑感
地方のことは地方へ ― 平均値の落とし穴 ~ Vol.3
2022.01.13
VOL.03 地方のことは地方へ

 高齢化の問題は、土地問題と同様に、団塊世代の去就の問題でもある。
 したがって、団塊世代の寿命と共に、自動的に解決されるものと予想しているが、少子化問題は国力に直結するので、100年単位の国のあり方を考える必要がある。

 たった40年前には人口が増えすぎるからと、産児制限を行なっていたのである。

 産児制限の政策効果を検証もせずに少子化問題を論ずる近視眼的な見方が社会を支配していることに、懸念を覚えずにはいられない。


 選挙の公約を見ても、とても100年後の日本の将来を想像することはできない。

 日本社会の上から下まで漂う「取り敢えず今日・明日が精一杯」という閉塞感には、絶望感を禁じ得ない。
 平均値をメルクマールとする思考・大衆社会に迎合する政治家、そして自分の利益しか考えない国民。
 佐藤優氏風に言えば、反知性主義に染まった日本の社会に、明るい未来はあるのか。

 参院選挙で問われるのは、政治家の見識だけではなく、国民の見識でもあると考える。

 少子高齢化と空家問題は別個の問題ではなく相互に関連している他、地方の事情は相当異なることから、日本全国共通の処方箋はないということを良く考える必要がある。

 暗い話が多くなったが、合計特殊出生率が2以上となるのは夢のまた夢と思われがちであるが、たまたま調査していたら合計特殊出生率が2.47という村があったので紹介する。

 この村は、北海道のオホーツク海に面する猿払村で、人口2,800人弱、高齢化率は22.4%である。合計特殊出生率が低いのは、ホタテの養殖という栽培漁業の成功によるものと思われる。

 尚、平成22年国勢調査によれば、全国一合計特殊出生率が高いのは鹿児島県の伊仙町で、2.81となっている。

 傾向としては、西高東低で、合計特殊出生率が2.0を超える上位30の市町村の大半は、九州(どういう訳か佐賀・大分・宮崎は入っていないが)と沖縄に集中しており、しかも長崎県の対馬市・壱岐市を除けば町村だけである。

 これらの状況から考えられるのは、地域の産業がしっかりしていれば、少子化は避けられるということである。

 少子化問題は、つまるところ地域経済の問題であるから、地域に密着した対策が必要である。

 その意味からも、地方のことは地方に任せるという大胆な地方分権が必要と思われる。
 
 あれから40年と言い訳をしないためにも、100年先を見通すリーダーが現れることを期待したい。

(2015年 傍目八目掲載/「空家の発生と三ない不動産の行方」)

2022.01.13 17:37 | 固定リンク | 鑑定雑感

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