パラサイト北海道「アジアの中の北海道」 ~ Vol.1
2023.02.22
VOL.01 自立への道
これまで述べてきたように、統計データだけを眺めていると、そこから見えてくるのはつらくて暗い困難な道だけである。
国も地方も、なんとかなると思って拡大均衡政策を続けてきたが、その結果国・地方合せて1000兆円にもなるという借金が残っただけである。
少子高齢化が本格化する中で、一体どのようにしたら借金を返せるというのだろうか。
道州制議論は終盤をむかえているが、北海道知事は北海道特例の廃止は納得できないとして、道州制には全面的には納得していない。
個人的な見解ではあるが、北海道特例があっても無くても、最早なんの意味もないと思っている。
つまり、北海道特例の中心は公共事業の補助率のカサ上げと思われるが、ある町では地元負担の100万円さえ用意できなくて補助事業を返上しているのである。
補助事業を100%消化できる体力がある市町村は、一体どの位あるというのであろうか。
一極集中、多極過疎が進行する中で、補助率をカサ上げしてもらったからといってどれ程の事業が実施できるかは疑問である。
いくら補助してもらっても、100%補助ではないのである。
地元負担分は、借金として積増しされ、財政硬直化はなお一層深刻化するだけである。
人口半減時代をむかえようとしているのに、これ以上のインフラが本当に必要なのであろうか。
都会の住民からみれば、10LDKの家で一人暮らしをしながら、仕事がないので増築してくれと言っているようなものである。
増築した後の部屋の使い道はなく、維持管理に要する費用の補助もないのである。
これまで述べてきたように、統計データだけを眺めていると、そこから見えてくるのはつらくて暗い困難な道だけである。
国も地方も、なんとかなると思って拡大均衡政策を続けてきたが、その結果国・地方合せて1000兆円にもなるという借金が残っただけである。
少子高齢化が本格化する中で、一体どのようにしたら借金を返せるというのだろうか。
道州制議論は終盤をむかえているが、北海道知事は北海道特例の廃止は納得できないとして、道州制には全面的には納得していない。
個人的な見解ではあるが、北海道特例があっても無くても、最早なんの意味もないと思っている。
つまり、北海道特例の中心は公共事業の補助率のカサ上げと思われるが、ある町では地元負担の100万円さえ用意できなくて補助事業を返上しているのである。
補助事業を100%消化できる体力がある市町村は、一体どの位あるというのであろうか。
一極集中、多極過疎が進行する中で、補助率をカサ上げしてもらったからといってどれ程の事業が実施できるかは疑問である。
いくら補助してもらっても、100%補助ではないのである。
地元負担分は、借金として積増しされ、財政硬直化はなお一層深刻化するだけである。
人口半減時代をむかえようとしているのに、これ以上のインフラが本当に必要なのであろうか。
都会の住民からみれば、10LDKの家で一人暮らしをしながら、仕事がないので増築してくれと言っているようなものである。
増築した後の部屋の使い道はなく、維持管理に要する費用の補助もないのである。
パラサイト北海道「過剰インフラの対応」 ~ Vol.1
2023.02.16
パラサイト北海道「過剰インフラの対応」 ~ Vol.1
VOL.01 運営から経営へ
先にみたように、過剰インフラは今後更に深刻化する。
北海道は東北6県より広く、人口密度も低いため、インフラの非効率性は宿命的である。
これまでは拡大均衡政策が続いていたため効率性は後回しになっていたが、これからはインフラの効率性を考えなければならない。
札幌市でさえ2100年には人口60万人時代になると予測する学者もいる。
これまで足りない費用は全て補てんされてきたため、インフラを作ることが全てであった。
しかし、使いきれないインフラの維持管理コストは我々の肩に重くのしかかってくる。
インフラは十分に使ってこそ、その価値がある。
ケインズ政策が有効であったのは、有効需要が十分に期待できた時代の話である。
公共事業により有効需要を創出しようと思っても、人口減少時代にあっては有効需要の創出には必ずしも寄与しない。
事実、道内においてバブル崩壊後も多額の公共事業予算が使われたが、バブル以前程の効果はみられず、北海道経済は未だ浮上しない。
公共事業の実施にあたっての需要予測が甘かったといえばそれまでだが、何より50年・100年先を見据えた街づくりの視点が欠けていたことの方が問題と考える。
量的拡大が先行し、国も地方も住民ももっと沢山、もっと沢山と言って公共事業予算を拡大してきたが、人口減少の後には使いきれないインフラが残り、地元住民を苦しめることになる。
予算が十分に使えるときは、効率性やコストを考えずに済む。
赤字になっても税金で面倒をみてくれるので、行政の仕事の大半は予算を使うことである。
間違っても予算を残してはいけないことになる。
余すと事業見通しが甘いと非難される。
役所仕事は、何時も予算が足りないのがちょうど良いとされる。
効率性やコスト・責任を考えなくてもいい仕事のやり方を運営という。
文字どおりただ動かすだけである。
これに対して経営とは、効率やコストを考え、失敗すれば責任を取るのが経営である。
特別会計予算で無駄な施設を全国あちらこちらに作り、挙句の果てに二束三文でタタキ売りし、その責任を誰も取っていないのは運営の最たるものである。
民間会社であれば、責任者は自己破産を免れないであろうし、職員も路頭に迷うことになる。
小泉改革は小さな政府、小さな行政を目指しており、官から民への流れは行政の効率化を促すものと考える。
これからの行政にとって必要なのは、運営感覚を捨て、経営意識を持つことであると考える。
効率性やコストを考えないと、地方自治体は存続できない。
話はややそれてしまったが、過剰インフラの対応方法は一筋縄ではいかないが、間違いなく言えることは広大な土地に散居することではなく、できるだけコンパクトな街を作り上げることである。
各市町村は縮小均衡の道をたどらざるを得ないのであるから、各市町村毎に実施可能な行政サービスの再点検を行う必要がある。
その結果、市町村間における行政サービス・料金の格差が生じ、市町村は二極化する可能性がある。
市町村の二極化は市町村間の行政サービス等の競争機運を生じさせ、行政サービスの格差から人口の社会移動は大きくなる。
市町村間の生き残り競争から現在残っている市町村全てがこれまでと同様に生き残れる保障はない。
過剰インフラの問題を克服し、行政サービスのレベルを維持するためには、情においては忍びないが、大胆な市町村等のリストラは避けて通れないものと思われる。
道民も、生き残りを願うなら行政サービスの低下もあえて我慢する必要がある。
国にも地方にも、これ以上使うお金はない。
終戦時の状況からみれば十分豊かな生活をしているのであるから、多少の我慢はやむを得ない。
非難の応酬や責任のなすり合いをしても何の解決にもならない。
負担と受益は良い悪いの問題ではなく、選択の問題である。
小泉首相の言葉を借りるならば、負担なくして受益なしである。
受益と負担をどうバランスさせるかは選択の問題である。
市町村長さんは選挙のたびにサンタクロースになってはいけないし、住民もプレゼントを期待してはいけない。
耳あたり、口あたりの良い話は心地良いが、タダほど高いものはない。
立派な庁舎・立派な図書館・立派な公民館・体育館・保育所・公営住宅・下水道等の公共インフラの維持管理費は、人口減少とともにやがては住民の負担となって重くのしかかるであろう。
うまい話はないのである。
暗い希望のない話が続いたが、次回最終回では、アジア有数の自然的条件を備えた北海道の可能性から自立への道を検討し、パラサイトへの決別の辞としたい。
VOL.01 運営から経営へ
先にみたように、過剰インフラは今後更に深刻化する。
北海道は東北6県より広く、人口密度も低いため、インフラの非効率性は宿命的である。
これまでは拡大均衡政策が続いていたため効率性は後回しになっていたが、これからはインフラの効率性を考えなければならない。
札幌市でさえ2100年には人口60万人時代になると予測する学者もいる。
これまで足りない費用は全て補てんされてきたため、インフラを作ることが全てであった。
しかし、使いきれないインフラの維持管理コストは我々の肩に重くのしかかってくる。
インフラは十分に使ってこそ、その価値がある。
ケインズ政策が有効であったのは、有効需要が十分に期待できた時代の話である。
公共事業により有効需要を創出しようと思っても、人口減少時代にあっては有効需要の創出には必ずしも寄与しない。
事実、道内においてバブル崩壊後も多額の公共事業予算が使われたが、バブル以前程の効果はみられず、北海道経済は未だ浮上しない。
公共事業の実施にあたっての需要予測が甘かったといえばそれまでだが、何より50年・100年先を見据えた街づくりの視点が欠けていたことの方が問題と考える。
量的拡大が先行し、国も地方も住民ももっと沢山、もっと沢山と言って公共事業予算を拡大してきたが、人口減少の後には使いきれないインフラが残り、地元住民を苦しめることになる。
予算が十分に使えるときは、効率性やコストを考えずに済む。
赤字になっても税金で面倒をみてくれるので、行政の仕事の大半は予算を使うことである。
間違っても予算を残してはいけないことになる。
余すと事業見通しが甘いと非難される。
役所仕事は、何時も予算が足りないのがちょうど良いとされる。
効率性やコスト・責任を考えなくてもいい仕事のやり方を運営という。
文字どおりただ動かすだけである。
これに対して経営とは、効率やコストを考え、失敗すれば責任を取るのが経営である。
特別会計予算で無駄な施設を全国あちらこちらに作り、挙句の果てに二束三文でタタキ売りし、その責任を誰も取っていないのは運営の最たるものである。
民間会社であれば、責任者は自己破産を免れないであろうし、職員も路頭に迷うことになる。
小泉改革は小さな政府、小さな行政を目指しており、官から民への流れは行政の効率化を促すものと考える。
これからの行政にとって必要なのは、運営感覚を捨て、経営意識を持つことであると考える。
効率性やコストを考えないと、地方自治体は存続できない。
話はややそれてしまったが、過剰インフラの対応方法は一筋縄ではいかないが、間違いなく言えることは広大な土地に散居することではなく、できるだけコンパクトな街を作り上げることである。
各市町村は縮小均衡の道をたどらざるを得ないのであるから、各市町村毎に実施可能な行政サービスの再点検を行う必要がある。
その結果、市町村間における行政サービス・料金の格差が生じ、市町村は二極化する可能性がある。
市町村の二極化は市町村間の行政サービス等の競争機運を生じさせ、行政サービスの格差から人口の社会移動は大きくなる。
市町村間の生き残り競争から現在残っている市町村全てがこれまでと同様に生き残れる保障はない。
過剰インフラの問題を克服し、行政サービスのレベルを維持するためには、情においては忍びないが、大胆な市町村等のリストラは避けて通れないものと思われる。
道民も、生き残りを願うなら行政サービスの低下もあえて我慢する必要がある。
国にも地方にも、これ以上使うお金はない。
終戦時の状況からみれば十分豊かな生活をしているのであるから、多少の我慢はやむを得ない。
非難の応酬や責任のなすり合いをしても何の解決にもならない。
負担と受益は良い悪いの問題ではなく、選択の問題である。
小泉首相の言葉を借りるならば、負担なくして受益なしである。
受益と負担をどうバランスさせるかは選択の問題である。
市町村長さんは選挙のたびにサンタクロースになってはいけないし、住民もプレゼントを期待してはいけない。
耳あたり、口あたりの良い話は心地良いが、タダほど高いものはない。
立派な庁舎・立派な図書館・立派な公民館・体育館・保育所・公営住宅・下水道等の公共インフラの維持管理費は、人口減少とともにやがては住民の負担となって重くのしかかるであろう。
うまい話はないのである。
暗い希望のない話が続いたが、次回最終回では、アジア有数の自然的条件を備えた北海道の可能性から自立への道を検討し、パラサイトへの決別の辞としたい。
(2001年・2002年 グローバルヴィジョン/「パラサイト北海道」)
(2019年4・5・6月 北方ジャーナル掲載/「パラサイト北海道」)
パラサイト北海道「人口減少と地価下落」 ~ Vol.2
2023.02.09
パラサイト北海道「人口減少と地価下落」 ~ Vol.2
VOL.02 人口減少と過剰インフラの行方
平成15年現在の道路の保有状況は次のとおりである。
2003年現在で北海道は国道で全国の約2.7倍、都道府県道で約2倍、市町村道で約1.6倍、高速道路で約1.7倍の道路を保有している。
一度作った道路を壊したり廃止したりすることは、まずないであろう。
とすれば、2030年における道民千人当りの道路保有率は次のとおり約20%増加する。
ところで、道民一人当りの道路保有率が全国平均の約2倍に近いということは、単純にいえば道路の維持管理のために、全国平均の約2倍の費用がかかるということである。
除雪費用を考えると、3倍になっているかもしれない。
人口減少によって相対的に保有率は上昇するため、一人あたりの道路の維持管理費は増加しても減少することはない。
他方、地方市町村は人口減少によって深刻な財源不足に陥ることは想像に難くない。
将来的には、国道はともかく、道々・市町村道の維持管理を現状と同じレベルで行うことはできない。
通行量の少ない道路の維持管理は後回しにされ、道路の損傷は拡大するものと思われる。
更に深刻なのは、除雪の問題である。
数キロメートルに1軒の家のための除雪は、費用対効果の上からも無理となる。
人口減少により相対的に過剰となるインフラは、道路だけではない。上水道や下水道も同じである。
これらのライフラインは道路と異なり、利用量が少ないからといって部分的に止めたり、維持管理を後回しにはできない。
人口が半減すると、ライフラインの利用料金は倍になる。
つまり、従来どおりの料金を維持するとすれば、不足分は一般会計から補てんしなければならないが、一般財源が不足しているためそれもできない。
次に、平成15年の道民千人当りの教育施設並びに一校当りの生徒数をみると、次のとおりである。
これによると、小中学校は全国の約1.4倍を保有しているのに、生徒数は7割にも満たない。
文化施設・体育施設の合計は北海道1,34箇所、全国22,763箇所で、千人当りの保有率は北海道が0.24、全国が0.18で、全国の約1.3倍の施設を保有していることになる。
これまでにみたように、北海道における公共インフラの利用効率は全国より相当劣り、その分道民一人当りの負担は大きくなることになる。
2030年に向って100万人以上の人口減少が予想されているため、利用できない施設は増えても、減ることはない。
国は平成の大合併を進め、合併前で約3300あった市町村を1000市町村、3分の1にまで減らそうとしている。
北海道の合併比率は地理的条件から全国最低であるが、過剰インフラの保有からくる財政負担の増加は、否応なく合併を促すであろう。
国の方針からすると、道内の市町村も3分の1になるとすれば約140の市町村がなくなり、140の役場庁舎が余ることになる。
全部を潰すことはないにしても、人口減少から従来どおりの利用はできず、いわば10LDKの住宅に一人で居住するような状態になるものと思われる。
維持管理費用を考えると、余った役場庁舎全体の利用・維持はできず、やがてはその全てが閉鎖されるであろう。
VOL.02 人口減少と過剰インフラの行方
平成15年現在の道路の保有状況は次のとおりである。
2003年現在で北海道は国道で全国の約2.7倍、都道府県道で約2倍、市町村道で約1.6倍、高速道路で約1.7倍の道路を保有している。
一度作った道路を壊したり廃止したりすることは、まずないであろう。
とすれば、2030年における道民千人当りの道路保有率は次のとおり約20%増加する。
ところで、道民一人当りの道路保有率が全国平均の約2倍に近いということは、単純にいえば道路の維持管理のために、全国平均の約2倍の費用がかかるということである。
除雪費用を考えると、3倍になっているかもしれない。
人口減少によって相対的に保有率は上昇するため、一人あたりの道路の維持管理費は増加しても減少することはない。
他方、地方市町村は人口減少によって深刻な財源不足に陥ることは想像に難くない。
将来的には、国道はともかく、道々・市町村道の維持管理を現状と同じレベルで行うことはできない。
通行量の少ない道路の維持管理は後回しにされ、道路の損傷は拡大するものと思われる。
更に深刻なのは、除雪の問題である。
数キロメートルに1軒の家のための除雪は、費用対効果の上からも無理となる。
人口減少により相対的に過剰となるインフラは、道路だけではない。上水道や下水道も同じである。
これらのライフラインは道路と異なり、利用量が少ないからといって部分的に止めたり、維持管理を後回しにはできない。
人口が半減すると、ライフラインの利用料金は倍になる。
つまり、従来どおりの料金を維持するとすれば、不足分は一般会計から補てんしなければならないが、一般財源が不足しているためそれもできない。
次に、平成15年の道民千人当りの教育施設並びに一校当りの生徒数をみると、次のとおりである。
これによると、小中学校は全国の約1.4倍を保有しているのに、生徒数は7割にも満たない。
文化施設・体育施設の合計は北海道1,34箇所、全国22,763箇所で、千人当りの保有率は北海道が0.24、全国が0.18で、全国の約1.3倍の施設を保有していることになる。
これまでにみたように、北海道における公共インフラの利用効率は全国より相当劣り、その分道民一人当りの負担は大きくなることになる。
2030年に向って100万人以上の人口減少が予想されているため、利用できない施設は増えても、減ることはない。
国は平成の大合併を進め、合併前で約3300あった市町村を1000市町村、3分の1にまで減らそうとしている。
北海道の合併比率は地理的条件から全国最低であるが、過剰インフラの保有からくる財政負担の増加は、否応なく合併を促すであろう。
国の方針からすると、道内の市町村も3分の1になるとすれば約140の市町村がなくなり、140の役場庁舎が余ることになる。
全部を潰すことはないにしても、人口減少から従来どおりの利用はできず、いわば10LDKの住宅に一人で居住するような状態になるものと思われる。
維持管理費用を考えると、余った役場庁舎全体の利用・維持はできず、やがてはその全てが閉鎖されるであろう。
パラサイト北海道「人口減少と地価下落」 ~ Vol.1
2023.02.02
VOL.01 恐怖の連鎖
人口減少の主な原因は、少子高齢化の他、小泉改革による影響が大きいものと考える。
小泉改革の与える影響について検討してみる。
1.行財政改革のうち地方経済に影響を与える政策を例示すると次のものが考えられる。
イ.出先機関の全廃
ロ.公共事業の大幅な削減
このうち、出先機関の全廃は、直接的に人口減少をもたらす。
郵政改革にしても、既に社宅・宿舎・保養施設のバルクセールという形で動いている。
公共事業については将来的に3分の1に減少させるとしていることから、公共事業の依存度の高い北海道の土木・建設関連の産業は、単純にいえば3分の1に減少することになる。
2.規制改革では次のものが考えられる。
イ.大型店の出店緩和
ロ.行政事務の民営化
前者については、郊外への大型店の進出による中心商業地の空洞化から出店規制は強化される方向にあるが、大型店との競合から小売店舗数は平成3年の63,386から平成16年の48,862へと実に23%も減少している。
他方、小売業も農業と同様に高齢化・後継者難に悩んでおり、今後離農ならず離商は一層進むものと予測される。
行政事務の民営化は、市町村役場の職員減少を促す他、行政事務を受託した会社も効率化から一極集中的な処理体制をとるものと思われ、職員も仕事も地方市町村からなくなってしまうことになる。
その結果、地元の中学校・高校を卒業しても仕事がないため、子供達の大半は都市部に出ざるを得なくなる。
現在でも地元に企業に就職できるのは卒業生の10%にも満たないといわれているが、その傾向は尚一層強くなるものと思われる。
3.市場開放
市場開放の政策の影響は既に農林業において顕著に表れている。
安い農産物や木材資源の輸入攻勢で離農は一気に進んだ。
また、木材関連でも道産材の市場価値は低迷し、林地の価格も既に半値以下となっている。
道内の木材関連産業も打撃を受け相当数の木工場が廃業となった。
この結果、地方市町村の人口は減少に減少を続け、一極集中と多極過疎の同時進行が現在も続いている。
そしてこの傾向は2030年に向って更に深刻化するものと思われる。
人口減少は市町村にとって更なる大きな問題を呼び込むことになる。
人口減少は、不動産の需給動向を悪化させ、地価下落をもたらすばかりではない。
地価下落は、地方財政の基幹税目である固定資産税収入に影響を与える。
固定資産税は、土地価格を基本(公示価格等の7割とされている)としているため、地価下落は税収の減少に直結する。
また、住民税も減少するが、更に大きいのが人口に比例して配分される地方交付税の減少である。
道内市町村の大半は良くて3割自治といわれ財源の大半を地方交付税に依存している。
人口減少は地方市町村の死活問題である。
国が平成の大合併を強行するのは、これらの事情によるものである。
北海道は全国最低の合併比率であるが、今後は国の優遇策もないので、道内市町村はより困難な局面に立たされ、結局は国の方針に従わざるを得なくなるであろうと思われる。
いずれにしても、国の政策により大半の市町村の人口は更に減少を続け、その結果行政サービスの大幅な低下をもたらすことになる。
仮に現在の行政サービスを維持するとすれば、財源不足から地方税も大増税をしなければならなくなるからである。
行政サービスの低下は住民の帰属意識を低下させ、結果的にマチを離れさせることになる。
行財政改革・規制緩和・市場開放を進めれば進める程、地域経済はダメージを受け、人口減少そのものが行政サービスの低下・財源難による地方の公共料金の値上、就業機会の喪失、商業・医療サービスの低下等の複合的なダメージを引き起し、その結果不動産の需給ギャップはますます拡大し、地価はとめどもなく下落を続け、そのことが更に過疎を促すというように、人口減少の連鎖が地価下落の連鎖を生むことになる。
国鉄の廃止によってかつての駅前商店街は駅前シャッター街に、郊外大型店の進出による中心商業地の空洞化により、かつての名店街は閉店街になっているところは数多い。
農地にしても、ピーク時(83年前後)の約4分の1の価格水準にまで落ち込んでいる。
買い手・借り手のいない農地は耕作放棄され、毎年増加の一途をたどっている。
耕作放棄された農地は荒地と化し、やがては山林原野に帰すであろう。
住宅地・商業地・工業地もこれまでに述べた事情から、やがては農地と同じ運命をたどりゴーストタウンがあちらこちらに出現することになるであろう。
人口減少の主な原因は、少子高齢化の他、小泉改革による影響が大きいものと考える。
小泉改革の与える影響について検討してみる。
1.行財政改革のうち地方経済に影響を与える政策を例示すると次のものが考えられる。
イ.出先機関の全廃
ロ.公共事業の大幅な削減
このうち、出先機関の全廃は、直接的に人口減少をもたらす。
郵政改革にしても、既に社宅・宿舎・保養施設のバルクセールという形で動いている。
公共事業については将来的に3分の1に減少させるとしていることから、公共事業の依存度の高い北海道の土木・建設関連の産業は、単純にいえば3分の1に減少することになる。
2.規制改革では次のものが考えられる。
イ.大型店の出店緩和
ロ.行政事務の民営化
前者については、郊外への大型店の進出による中心商業地の空洞化から出店規制は強化される方向にあるが、大型店との競合から小売店舗数は平成3年の63,386から平成16年の48,862へと実に23%も減少している。
他方、小売業も農業と同様に高齢化・後継者難に悩んでおり、今後離農ならず離商は一層進むものと予測される。
行政事務の民営化は、市町村役場の職員減少を促す他、行政事務を受託した会社も効率化から一極集中的な処理体制をとるものと思われ、職員も仕事も地方市町村からなくなってしまうことになる。
その結果、地元の中学校・高校を卒業しても仕事がないため、子供達の大半は都市部に出ざるを得なくなる。
現在でも地元に企業に就職できるのは卒業生の10%にも満たないといわれているが、その傾向は尚一層強くなるものと思われる。
3.市場開放
市場開放の政策の影響は既に農林業において顕著に表れている。
安い農産物や木材資源の輸入攻勢で離農は一気に進んだ。
また、木材関連でも道産材の市場価値は低迷し、林地の価格も既に半値以下となっている。
道内の木材関連産業も打撃を受け相当数の木工場が廃業となった。
この結果、地方市町村の人口は減少に減少を続け、一極集中と多極過疎の同時進行が現在も続いている。
そしてこの傾向は2030年に向って更に深刻化するものと思われる。
人口減少は市町村にとって更なる大きな問題を呼び込むことになる。
人口減少は、不動産の需給動向を悪化させ、地価下落をもたらすばかりではない。
地価下落は、地方財政の基幹税目である固定資産税収入に影響を与える。
固定資産税は、土地価格を基本(公示価格等の7割とされている)としているため、地価下落は税収の減少に直結する。
また、住民税も減少するが、更に大きいのが人口に比例して配分される地方交付税の減少である。
道内市町村の大半は良くて3割自治といわれ財源の大半を地方交付税に依存している。
人口減少は地方市町村の死活問題である。
国が平成の大合併を強行するのは、これらの事情によるものである。
北海道は全国最低の合併比率であるが、今後は国の優遇策もないので、道内市町村はより困難な局面に立たされ、結局は国の方針に従わざるを得なくなるであろうと思われる。
いずれにしても、国の政策により大半の市町村の人口は更に減少を続け、その結果行政サービスの大幅な低下をもたらすことになる。
仮に現在の行政サービスを維持するとすれば、財源不足から地方税も大増税をしなければならなくなるからである。
行政サービスの低下は住民の帰属意識を低下させ、結果的にマチを離れさせることになる。
行財政改革・規制緩和・市場開放を進めれば進める程、地域経済はダメージを受け、人口減少そのものが行政サービスの低下・財源難による地方の公共料金の値上、就業機会の喪失、商業・医療サービスの低下等の複合的なダメージを引き起し、その結果不動産の需給ギャップはますます拡大し、地価はとめどもなく下落を続け、そのことが更に過疎を促すというように、人口減少の連鎖が地価下落の連鎖を生むことになる。
国鉄の廃止によってかつての駅前商店街は駅前シャッター街に、郊外大型店の進出による中心商業地の空洞化により、かつての名店街は閉店街になっているところは数多い。
農地にしても、ピーク時(83年前後)の約4分の1の価格水準にまで落ち込んでいる。
買い手・借り手のいない農地は耕作放棄され、毎年増加の一途をたどっている。
耕作放棄された農地は荒地と化し、やがては山林原野に帰すであろう。
住宅地・商業地・工業地もこれまでに述べた事情から、やがては農地と同じ運命をたどりゴーストタウンがあちらこちらに出現することになるであろう。