不動産のグローバル化と道内の取引事情 ~ Vol.7
2024.03.14
VOL.07 2045年の北海道の人口

2018年の人口問題研究所の長期人口推計によれば、2045年の北海道の人口は約26%程の減少と予測されているが、ショッキングなのは道内179市町村のうち約半数の85市町村の人口が半減するとされていることである。

単純に言えば、半減する市町村の住宅の戸数は半減することになる。

人口減少ワースト5は次のとおりであるが、今後の動向が懸念される。

人口減少ワースト5



尚、人口減少に伴って、空家・空地は急速に増大するが、一番の問題は市場が成立しないので、これらの不動産はタダ同然になるということである。

しかし、もっと問題なのは、引き取り手のいない不動産でも、固定資産評価額はかなり高いということである。

タダでくれてやるといっても、下手をすれば贈与税がかかるかもしれないし、また、不動産取得税・登録免許税は固定資産評価額が課税標準となっているので、もらった人の負担は大きい。
その為、不動産をもらってくれたら謝礼を払うというケースが出てきている。

建物の解体費は、普通の一軒家で150万円位はかかるので、謝礼として100万円を払うかどうか、というケースである。

今後、このような不動産が増大すると予測されるが、流通課税がネックになり、空地・空家の処理は進まないものと思われる。
特に、過疎地にある鉄筋コンクリート造の非住宅は、更地価格の数倍の取壊し費用がかかるので、放置されることになる。
特定空家にして行政代執行によって取り壊すことも考えられるが、財政力のない自治体にとって重荷となるため、それも難しいものと思われる。
高齢の所有者にしてみれば、どうにでもしてくれということになると思われる。

今後どうするかは、国民のチエの出しどころと考える。
2024.03.14 09:19 | 固定リンク | 鑑定雑感
不動産のグローバル化と道内の取引事情 ~ Vol.6
2024.03.07
VOL.06 グローバルマーケットとドメスチックマーケットの相違

 前述のように、1億円をハシタ金と言える人の行動パターンは、貧乏人には理解できない。

 彼らは予算の制約がないので、安いから買うのではなく、欲しいから買うのである。

 その時に地元感覚の価格は、何の目安にもならない。

 比較対象となるのは、世界中にある同種の不動産で、自分が興味のある国との比較でしかない。

 ニセコ地区も、高い高いと思っても、それは地元感覚である。

 この主の物件を扱っている人の話によれば、ニセコ地区の物件はカナダのウィスラー、スイスのサンモリッツ等の高級リゾート物件との比較であるので、高いということはないということであった。

 個人的には、ウィスラーにもサンモリッツにも行ったことがないので、高い安いの比較もできない。

 サンモリッツの物件をポケットマネーで買える人から見れば、世界中の同様の物件は安いということになるものと思われるが、その人からみれば高い安いではなく、欲しいか欲しくないかだけのことのようである。

 このような人に、地元感覚で適正価格はどうあるべきかと問うこと自体がナンセンスということになるのかもしれない。

 いずれにしても、このような富裕層の購買動機は高い安いではなく、欲しいか欲しくないか、それも自分の財布の中身との相談ということなので、地元感覚の価格のベンチマークはあまり意味を持たないということになるのだろう。

 尚、富裕層は税対策としてタックスヘイブンにペーパーカンパニーを所有していることが多く、大半の不動産はペーパーカンパニーの所有となっているようである。
 
2024.03.07 09:27 | 固定リンク | 鑑定雑感
不動産のグローバル化と道内の取引事情 ~ Vol.5
2024.02.29
VOL.05 夕張マウントレースイの売買と適正価格

 松下興産が開発した夕張マウントレースイスキー場は、バブル崩壊によって経営不振となり、その後夕張市が引き取ったがそれも重荷となり、売却することとなった。

 売却はプロポーザル方式となったが、筆者もシンガポールのファンドから買いたいので手伝ってくれと言われ、話を聞いたことがある。

 1回目は7社程がプロポに参加したが、その内訳は国内5社・外資系2社ということであった。

 結局、外資アレルギーもあって国内の投資会社が落札したが、経営は無理ということで辞退してしまったため、年明けに2回目のプロポが実施された。

 その結果、台湾の元大グループが2.5億円で落札した。

 地域経済の活性化・市民の雇用確保等の美辞麗句を並べたものの、10ヶ月位で中国系ファンドに12.5億円で売却。

 わずか10ヶ月で10億円も抜いたのは流石と言いたいが、適正価格とは一体何であるのか、考えさせられた。

 買収した中国系ファンドは、スキー場・ホテル経営に意欲的に取り組んできたものと思われるが、コロナ騒動であえなく頓挫。

 その後破産の申し立てがなされたが、今後どのように処理されていくのかが注目される。

 いずれにしても、外資が絡むと国内における適正価格は意味を持たない。

 言葉を換えれば、100円ショップにしか行けない客と、ブランドショップにしか行かない客の感覚の差と言えるのかもしれない。

 1億円をハシタ金と考えられる人と、今日・明日のメシをどうするかしか考えられない人の差は大きい。

 不動産は移動することができないので、国外の買い手の懐事情で価格は大きく変動することになる。

 地元感覚で高い安いのと騒いでも、所詮貧乏人の戯れ言である。
2024.02.29 16:55 | 固定リンク | 鑑定雑感

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