評価替事務の今後のあり方を考える ~ Vol.6
2025.04.03
VOL.06 評価事務組合等の独立組織による対応について
                
 固定資産評価は、同一市町村のみならず隣接市町村との評価バランスも重要になりつつある。

  現行体制においても土地評価協議会が設置され、 広域的な価格バランスが検討されているが、この体制が十分に機能しているかどうかは議論の余地がある。

 また、評価する者と課税する者が同一のため、 納税者からは白い目で見られがちになるのは致し方のないことである。

 行政は常に無謬性を前提としており、また納税者にしてみれば自分の預かり知らぬところで税が決定されているため、 何かあればマスコミ等もこぞって行政を批難する傾向にあるのは、実に嘆かわしいことである。

 固定資産評価の中身は実に複雑多岐にわたっている他、土地評価に限ってみても価格形成要因に対する理解や不動産に関する知識、その他これに関する一般的知識・経験がなければ適確に判断することは難しい。

 したがって、納税者に対して必要かつ十分な対応をしようとすれば必然的に外部の専門家に依存する度合いが高くなるのは止むを得ないことと言わなければならない。

 もちろん、市町村内部に経験豊富な能力のある人材が確保されていれば対応に不安はないが、一般的にこのような人材を確保するのは難しい。
 何故なら、経験豊富ということは一つの部署に長く在籍しているということの裏返しであり、言葉を換えれば人事の停滞そのものに他ならないからである。

 いろいろな部署の経験を積んで昇進していくというゼネラリスト養成型の現行の行政システムの下では、プロフェッショナルは育てにくいと言えるのではないだろうか。

 他方、行政情報の公開によって、その信頼性は益々強く求められており、行政事務を担う市町村の担当者はよりプロ的な対応が要求されるため、人事の停滞を招かないということとプロ的な能力を要求されるということとの二律背反状態が生ずることになる。


 これらの問題を解決する方法として、評価事務組合のような独立した評価組織を創設してはどうであろうか。

              
 不動産の評価に当っては深い知識と経験が必要である。
 そのためには評価部門を切り離し、広域行政の一環として複数の市町村からなる事務組合のような組織を作り、そこで評価作業のみを徹底して行ったら良いのではないかと考える。

 組織を構成する人間はそこで定年まで勤務するようにすれば、自ずとプロフェッショナルは育つと共に、人事上の問題も少なくなるものと考える。

 また、評価と課税が切り離されるため、評価の未経験者が窓口対応することもなくなり、納税者も分かりにくい説明でイライラすることもなくなるものと思われる。

 更に、評価のための地図作成・航空写真撮影・電算処理等の重複するコストの削減も可能となる他、広域的バランスの確保や評価精度の向上・処理の速度アップが期待される等、そのメリットは計り知れない。


 深刻な地方の財政難と、情報公開法の実施による評価情報の公開と説明責任等を考慮すると、 一考に値するものと考える。

(2003年9月/「評価替事務の今後のあり方を考える」)

2025.04.03 15:54 | 固定リンク | 鑑定雑感
評価替事務の今後のあり方を考える ~ Vol.5
2025.03.27
VOL.05 コンピュータ処理の一元化

 固定資産評価においては、少なくとも画地計算から課税明細・納付書作成までの作業は既に電算化されている。

 しかしながら、これら一連の作業については内部処理あり、外部委託ありと様々である。

 また、内部処理をするに当たっても独自にプログラムを開発する市町村もあれば、パッケージ・プログラムを購入してそれに手を加えて使用している等、対応・処理の仕方は様々である。

  そのため、税制改正が行われるたびにプログラムの変更を余儀なくされ、全国3,200余の市町村の担当者が個々に悩むことになり、膨大な費用と時間を費やしているのが実情である。 

 したがって、この部分についても、自治省なり外郭団体である資産評価システム研究センター等が基本フォーマットを開発し、それをソフト会社に示して各市町村に販売させるようにすれば、各市町村は税制改正の度に購入し、それに従って入力すれば済むことになるため、開発や変更の手間が省け、かつ全国的にもデータのやり取りが可能となる。

 また、それだけでなく、評価上昇割合・総評価見込額等の調査も簡単に出来るようになり、人的・時間的・財政的コストの節減は計り知れないものになると思われる。

 税制改正が行われる度に、条例の改正や改正点と評価上の適用関係のチェック等、市町村の事務量は増大しており、また評価替時期の担当者は、増大する事務量と限られた短い時間の中で間違いなくこれを処理しなければな    らないというストレスに悩まされながら、超過勤務で辛うじて対応しているというのが現状である。

 これらの現状から脱却するためにも、行財政改革の上からも、また究極的には納税者の利益のためにも、自治省の大英断を望みたい。




2025.03.27 10:12 | 固定リンク | 鑑定雑感
評価替事務の今後のあり方を考える ~ Vol.4
2025.03.21
VOL.04 評価データの精度管理等

 路線価付設のためのデータの測定方法・誤差の取り扱い及び画地データの測定・誤差の取り扱い等について、基本的な技術指針を自治省が主導して定めるべきと考える。

 現在は、測定データの取り扱いや精度管理は市町村によっても異なる他、委託を受けた作業機関によっても異なるため、全国各地に固定資産を所有している納税者にとっては理解しにくい面がある。

 そのため、評価要因の選定はともかく、当該要因に係わる各種データの測定・精度等について定めた一般的技術指針ともいうべき作業規程があれば、市町村の負担は相当軽くなるものと思われる。
2025.03.21 09:55 | 固定リンク | 鑑定雑感

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