DCF法はアートな世界? Vol.3
2020.07.16
VOL.03 キャッシュフローの予測はタラ・レバの世界
長期のキャッシュフローを予測するのは非常に困難である。
結局今まで通り行ったとしたら、予測期間内に予測した事が発生したとすれば、という仮説の積み上げの世界である。
また、キャッシュフローの予測も単一シナリオ(本来的にはダイナミックDCF法により複数シナリオで検討するのがベターであろうと思われる)であるため、出てくる答はある意味でどうにでもなるとしか言いようがない。
ERがあったとしても修繕時期や予測費用は絶対的なものではないから、手を加えても検証のしようがないので保有期間内のお金の出入りについて恣意性を完全に排除することは難しい。
これらの試行過程を考えると、DCF法を完璧に使いこなすのはなかなか困難なことと思われる。
ところで、一般の人はともかく、あまりにもDCF法による評価の精度が高い、信頼性が高いという前宣伝が効き過ぎたせいか、金融関係・役所関係の人々に収益物件についてDCF法を適用しない鑑定評価は胡散臭いと思われるのには辟易することがある。
個人的には胡散臭いのはDCF法だと思っているが、DCF法の構造的欠陥を言う人は少ない。
時代の流れだから仕方ないとか、個人事務所ではDCF法適用物件を評価することはほとんどないのであまり関心がない、というのが本音であろうか。
長期のキャッシュフローを予測するのは非常に困難である。
結局今まで通り行ったとしたら、予測期間内に予測した事が発生したとすれば、という仮説の積み上げの世界である。
また、キャッシュフローの予測も単一シナリオ(本来的にはダイナミックDCF法により複数シナリオで検討するのがベターであろうと思われる)であるため、出てくる答はある意味でどうにでもなるとしか言いようがない。
ERがあったとしても修繕時期や予測費用は絶対的なものではないから、手を加えても検証のしようがないので保有期間内のお金の出入りについて恣意性を完全に排除することは難しい。
これらの試行過程を考えると、DCF法を完璧に使いこなすのはなかなか困難なことと思われる。
ところで、一般の人はともかく、あまりにもDCF法による評価の精度が高い、信頼性が高いという前宣伝が効き過ぎたせいか、金融関係・役所関係の人々に収益物件についてDCF法を適用しない鑑定評価は胡散臭いと思われるのには辟易することがある。
個人的には胡散臭いのはDCF法だと思っているが、DCF法の構造的欠陥を言う人は少ない。
時代の流れだから仕方ないとか、個人事務所ではDCF法適用物件を評価することはほとんどないのであまり関心がない、というのが本音であろうか。
DCF法はアートな世界? Vol.2
2020.07.09
VOL.02 DCF法による価格と直接法による収益価格の違い
DCF法は収益価格の一類型に位置づけられているが、個人的には何かしら怪しさを感じる。
何故なら、保有期間(分析期間)が短ければ求められる価格の7~8割は直接還元価格の復帰価格であり、純粋にキャッシュフローで説明できるのはたかが2~3割にすぎないからである。
長期の保有期間(10年前後か)を想定すればその割合は半々位なると思われるが、それでも約半分しか説明できない。
証券化不動産の評価においてはDC法の適用は必須であるが、証券化不動産の評価という仕事はまず個人事務所に依頼があることはないと断言できる。
仮に依頼があったとしても、10年間の保有期間のキャッシュフローのシナリオを完璧に作ることはできない。
予測の原則があるといってもせいぜい2~3年が関の山である。
この激しい時代変化の中で、一体誰が10年間のキャッシュフローを作成することができるのであろうか。
1年先も読めない私には、人間離れした神業としか思えない。
不動産鑑定士に依頼すれば、少なくとも10年間は絶対に倒産・破産しない不動産経営ができるのであろうか。
10年間のキャッシュフローを予測し、それが適正だと言い切れるのなら、多額の費用と時間をかけて華々しく発表される、各シンクタンクの我が国の一年先の経済成長率の予測は百発百中でなければならないことになる。
しかしこれまで、経済成長率の予測が当ったことはないのである。
たかが一人の鑑定士が限られた費用と時間と資料の制約の中で10年先のキャッシュフローを作り上げるというのであるのだから、ただただ恐れ入るばかりである。
私には神をも畏れぬ所業としか思えない。
DCF法は収益価格の一類型に位置づけられているが、個人的には何かしら怪しさを感じる。
何故なら、保有期間(分析期間)が短ければ求められる価格の7~8割は直接還元価格の復帰価格であり、純粋にキャッシュフローで説明できるのはたかが2~3割にすぎないからである。
長期の保有期間(10年前後か)を想定すればその割合は半々位なると思われるが、それでも約半分しか説明できない。
証券化不動産の評価においてはDC法の適用は必須であるが、証券化不動産の評価という仕事はまず個人事務所に依頼があることはないと断言できる。
仮に依頼があったとしても、10年間の保有期間のキャッシュフローのシナリオを完璧に作ることはできない。
予測の原則があるといってもせいぜい2~3年が関の山である。
この激しい時代変化の中で、一体誰が10年間のキャッシュフローを作成することができるのであろうか。
1年先も読めない私には、人間離れした神業としか思えない。
不動産鑑定士に依頼すれば、少なくとも10年間は絶対に倒産・破産しない不動産経営ができるのであろうか。
10年間のキャッシュフローを予測し、それが適正だと言い切れるのなら、多額の費用と時間をかけて華々しく発表される、各シンクタンクの我が国の一年先の経済成長率の予測は百発百中でなければならないことになる。
しかしこれまで、経済成長率の予測が当ったことはないのである。
たかが一人の鑑定士が限られた費用と時間と資料の制約の中で10年先のキャッシュフローを作り上げるというのであるのだから、ただただ恐れ入るばかりである。
私には神をも畏れぬ所業としか思えない。
DCF法はアートな世界? Vol.1
2020.07.02
VOL.01 サブプライムローン問題とDCF法
ここ1年・2年、DCF法による収益価格についてあまり考えることなく過ごしてきた。
ところで、不動産証券化はアメリカが発祥地のようであり、DCF法もアメリカで発明・改良され今日にきているようである。
不動産証券化にあたって必須の評価手法がDCF法であり、DCF法による評価はこれまでの評価と異なり、あたかもかなり精度が高く?信頼性も高い?と喧伝され、鑑定士もDCF法のマスターが強く要請されたことをサブプライムローン問題を契機に思い出した。
明けてもくれてもDCF法と大騒ぎし、鑑定評価の救世主のような持上げ方だったような記憶がある。
私のような愚者はDCF法の先進国で長い歴史を持つアメリカの、しかも格付がAAAのサブプライムローンの証券化不動産がかくもあっけなく崩壊し、全世界に大きな影響を及ぼすとは考えてもみなかった。
個人的にはアメリカの住宅ブームに胡散臭いものを感じてはいたが、不動産の証券化は不動産市場の活性化に寄与し、DCFによる評価でその信頼性はゆるぎないものであると数多の識者が言うものであるから、そんなものか、所詮田舎モンには関係ない、と気にもとめないでいた。
しかし、サブプライムローンの破綻によってその影響は全世界に拡散し、証券化不動産の問題が露呈した。
住宅ローンを証券化するにあたってアメリカでは不動産をどのように評価していたのかは判らない。
しかし、日本のバブル崩壊を嘲笑い、ハゲ鷹ファンドと言われながらも日本の不動産市場でDCF評価によって不動産を買い叩き大儲けしたのは記憶に新しいが、その本家がこの様である。
どうやらDCFによる評価も怪しいものだな、というのが田舎モンの実感である。
ここ1年・2年、DCF法による収益価格についてあまり考えることなく過ごしてきた。
ところで、不動産証券化はアメリカが発祥地のようであり、DCF法もアメリカで発明・改良され今日にきているようである。
不動産証券化にあたって必須の評価手法がDCF法であり、DCF法による評価はこれまでの評価と異なり、あたかもかなり精度が高く?信頼性も高い?と喧伝され、鑑定士もDCF法のマスターが強く要請されたことをサブプライムローン問題を契機に思い出した。
明けてもくれてもDCF法と大騒ぎし、鑑定評価の救世主のような持上げ方だったような記憶がある。
私のような愚者はDCF法の先進国で長い歴史を持つアメリカの、しかも格付がAAAのサブプライムローンの証券化不動産がかくもあっけなく崩壊し、全世界に大きな影響を及ぼすとは考えてもみなかった。
個人的にはアメリカの住宅ブームに胡散臭いものを感じてはいたが、不動産の証券化は不動産市場の活性化に寄与し、DCFによる評価でその信頼性はゆるぎないものであると数多の識者が言うものであるから、そんなものか、所詮田舎モンには関係ない、と気にもとめないでいた。
しかし、サブプライムローンの破綻によってその影響は全世界に拡散し、証券化不動産の問題が露呈した。
住宅ローンを証券化するにあたってアメリカでは不動産をどのように評価していたのかは判らない。
しかし、日本のバブル崩壊を嘲笑い、ハゲ鷹ファンドと言われながらも日本の不動産市場でDCF評価によって不動産を買い叩き大儲けしたのは記憶に新しいが、その本家がこの様である。
どうやらDCFによる評価も怪しいものだな、というのが田舎モンの実感である。