パラサイト北海道「行財政改革と地価」 ~ Vol.2
2023.01.12
VOL.02 バブルと無縁の都市
バブルの前後を通して地価が下落していた代表的な地方都市の地価動向をみると、次のとおりである。
前表は地価公示地の調査結果であり、データ数が少ないため当該市の一般的地価・地価動向を代表しているとは必ずしもいえないが、少なくとも当該市の地価動向をある程度は示唆するものと考える。
これによれば、バブル崩壊後一部の住宅地で地価水準が横ばい傾向になったようにも見受けられるが、商業地については横ばい期間があるものの、全体としては一貫して下落傾向にあることがうかがわれる。
大都市と地方都市の景気動向のタイムラグを考慮したとしても、当該都市の地価動向は日本全体の地価動向と一緒には説明できない。
日本全体の景気が良くなれば日本全体の地価が上昇するのではないかという期待は理解できなくはないが、地価公示データからみる限り、そのような期待はできない。
ところで、直近5年間の前記の3都市の地価動向は下表のとおりであり、住宅地もさることながら商業地の下落が一向におさまらないことに大きな懸念を覚える。
※商業地については地域的特性から便宜的に赤平5-3を除いて計算した。
尚、商業地のピークをみると、赤平市は昭和61年、紋別・名寄は昭和58年にピークを迎え昭和61年まで横ばいを続けていたが、3市ともに昭和62年から、つまりバブル前に下落に転じている。
次に、農地の地価動向をみると下表のとおりである。
これをみるとわかるとおり、農地のピークは前記3市のピークより2~3年程早いが、どちらもバブルとは無縁の状態にあったのは事実である。
バブルの前後を通して地価が下落していた代表的な地方都市の地価動向をみると、次のとおりである。
前表は地価公示地の調査結果であり、データ数が少ないため当該市の一般的地価・地価動向を代表しているとは必ずしもいえないが、少なくとも当該市の地価動向をある程度は示唆するものと考える。
これによれば、バブル崩壊後一部の住宅地で地価水準が横ばい傾向になったようにも見受けられるが、商業地については横ばい期間があるものの、全体としては一貫して下落傾向にあることがうかがわれる。
大都市と地方都市の景気動向のタイムラグを考慮したとしても、当該都市の地価動向は日本全体の地価動向と一緒には説明できない。
日本全体の景気が良くなれば日本全体の地価が上昇するのではないかという期待は理解できなくはないが、地価公示データからみる限り、そのような期待はできない。
ところで、直近5年間の前記の3都市の地価動向は下表のとおりであり、住宅地もさることながら商業地の下落が一向におさまらないことに大きな懸念を覚える。
※商業地については地域的特性から便宜的に赤平5-3を除いて計算した。
尚、商業地のピークをみると、赤平市は昭和61年、紋別・名寄は昭和58年にピークを迎え昭和61年まで横ばいを続けていたが、3市ともに昭和62年から、つまりバブル前に下落に転じている。
次に、農地の地価動向をみると下表のとおりである。
これをみるとわかるとおり、農地のピークは前記3市のピークより2~3年程早いが、どちらもバブルとは無縁の状態にあったのは事実である。
パラサイト北海道「行財政改革と地価」 ~ Vol.1
2023.01.05
VOL.01 土地バブルは地域限定の現象
バブル崩壊前もバブル崩壊後も、また資産デフレという言葉が定着した現在も、相変らず土地の価格現象だけがマスコミに取り上げられ、一般市民も土地価格が上がった下がったと言っては騒いでいる。
土地取引も経済活動の一部であるから、景気の動向に左右されるのはいたしかたがないが、景気が良くなったからといって全国すべての土地が値上がりする訳ではない。
地域によっては、日本全体の景気の動向とは関係なく変動している地域もある。
事実、バブルの真最中でも地価が下落していた町もある。
また、宅地以外の土地の代表である農地については、市街地の土地価格の動向とは全く関係なく変動している。
これらの地価変動から、我々は何を学ぶべきなのであろうか。
バブル崩壊前もバブル崩壊後も、また資産デフレという言葉が定着した現在も、相変らず土地の価格現象だけがマスコミに取り上げられ、一般市民も土地価格が上がった下がったと言っては騒いでいる。
土地取引も経済活動の一部であるから、景気の動向に左右されるのはいたしかたがないが、景気が良くなったからといって全国すべての土地が値上がりする訳ではない。
地域によっては、日本全体の景気の動向とは関係なく変動している地域もある。
事実、バブルの真最中でも地価が下落していた町もある。
また、宅地以外の土地の代表である農地については、市街地の土地価格の動向とは全く関係なく変動している。
これらの地価変動から、我々は何を学ぶべきなのであろうか。
パラサイト北海道「北海道における2007年問題と2030年問題」 ~ Vol.3
2022.12.28
VOL.03 2007年問題について
前述したように、北海道は人口の面から見ると、今後24年で急激な人口減少と、増大する高齢人口の問題に直面する。
しかし、さし当たっての大きな問題は2007年である。
つまり、2007年とは団塊の世代が退職する年である。
団塊の世代を昭和20年~昭和25年と仮定すると、2007年を境に退職を迎える又は迎えた団塊の世代は、2000年の北海道の人口比で約10%弱、約55万人である。
そのうち男性が約48%を占めているが、男性だけでみても2007年を境に毎年約5万人が退職することになる。
毎年退職すると推定される5万人は、余生をどこで暮らすのであろうか。
地方都市において退職世代が直面する問題には次のものが考えられる。
イ.年金受給開始まで5年あるが、田舎には働く場所がない。
ロ.両親は既にいない為、田舎に残留すべき障害はない。
ハ.子供達は皆成人し、そのほとんどが大都市で生活している。
ニ.高度医療を受けることができる病院は田舎にはない。
ホ. 介護保険料を支払っているが、介護を引き受けてくれる若い世代が少なく、介護施設も十分ではない。
ヘ.現役時代に建てた大きな家には夫婦二人で、それさえも建替時期に来ている。
これらの状況を考えると、大量に退職を迎える団塊の世代が退職後も、田舎に留まるべき理由・条件はほとんど見当たらない。
したがって、退職後の大半の人は子供が暮らしており、また働く場所や医療機関等の充実した都会に出ざるを得ないと思われる。
実際に北海道の市町村の大半は人口1万人程度であることから、退職後に安心して暮らすには不安である。
これまでの退職者の人口動態をみると、北海道212市町村のうち、転入者が転出者を上回っている市町村は約30市町村にすぎず、残りの85%の市町村は転出者の方が多くなっている。
ちなみに支庁別で見ると14支庁のうち、転入増となったのは石狩支庁のうち札幌及びその近郊都市と十勝支庁のみで、残りの12支庁全てが転出により人口を減少させている。
また、人口問題研究所の市区町村別将来人口推計をみると、2000年(平成12年)を基準として人口が増加すると予測されているのは合併前の212市町村のうち、わずか5市5町である。
市部では全てが札幌市及びその近郊(江別・千歳・恵庭・北広島)で、町村部では道南で2町(上磯・大野)、道央1町(南幌)、道北で1町(東神楽)、道東で1町(中標津)の5町のみで、残りの202市町村、
全体の約94%が人口減少に悩まされることになる。
人口減少率は郡部ほど大きく、最大で利尻・礼文の約65%、202市町村平均でも約37%の減少率となっており、人口半減は現実のシナリオとなりつつある。
前述したように、北海道は人口の面から見ると、今後24年で急激な人口減少と、増大する高齢人口の問題に直面する。
しかし、さし当たっての大きな問題は2007年である。
つまり、2007年とは団塊の世代が退職する年である。
団塊の世代を昭和20年~昭和25年と仮定すると、2007年を境に退職を迎える又は迎えた団塊の世代は、2000年の北海道の人口比で約10%弱、約55万人である。
そのうち男性が約48%を占めているが、男性だけでみても2007年を境に毎年約5万人が退職することになる。
毎年退職すると推定される5万人は、余生をどこで暮らすのであろうか。
地方都市において退職世代が直面する問題には次のものが考えられる。
イ.年金受給開始まで5年あるが、田舎には働く場所がない。
ロ.両親は既にいない為、田舎に残留すべき障害はない。
ハ.子供達は皆成人し、そのほとんどが大都市で生活している。
ニ.高度医療を受けることができる病院は田舎にはない。
ホ. 介護保険料を支払っているが、介護を引き受けてくれる若い世代が少なく、介護施設も十分ではない。
ヘ.現役時代に建てた大きな家には夫婦二人で、それさえも建替時期に来ている。
これらの状況を考えると、大量に退職を迎える団塊の世代が退職後も、田舎に留まるべき理由・条件はほとんど見当たらない。
したがって、退職後の大半の人は子供が暮らしており、また働く場所や医療機関等の充実した都会に出ざるを得ないと思われる。
実際に北海道の市町村の大半は人口1万人程度であることから、退職後に安心して暮らすには不安である。
これまでの退職者の人口動態をみると、北海道212市町村のうち、転入者が転出者を上回っている市町村は約30市町村にすぎず、残りの85%の市町村は転出者の方が多くなっている。
ちなみに支庁別で見ると14支庁のうち、転入増となったのは石狩支庁のうち札幌及びその近郊都市と十勝支庁のみで、残りの12支庁全てが転出により人口を減少させている。
また、人口問題研究所の市区町村別将来人口推計をみると、2000年(平成12年)を基準として人口が増加すると予測されているのは合併前の212市町村のうち、わずか5市5町である。
市部では全てが札幌市及びその近郊(江別・千歳・恵庭・北広島)で、町村部では道南で2町(上磯・大野)、道央1町(南幌)、道北で1町(東神楽)、道東で1町(中標津)の5町のみで、残りの202市町村、
全体の約94%が人口減少に悩まされることになる。
人口減少率は郡部ほど大きく、最大で利尻・礼文の約65%、202市町村平均でも約37%の減少率となっており、人口半減は現実のシナリオとなりつつある。
(2019年4・5・6月 北方ジャーナル掲載/「パラサイト北海道」)