不動産のグローバル化と道内の取引事情 ~ Vol.5
2024.02.29
VOL.05 夕張マウントレースイの売買と適正価格

 松下興産が開発した夕張マウントレースイスキー場は、バブル崩壊によって経営不振となり、その後夕張市が引き取ったがそれも重荷となり、売却することとなった。

 売却はプロポーザル方式となったが、筆者もシンガポールのファンドから買いたいので手伝ってくれと言われ、話を聞いたことがある。

 1回目は7社程がプロポに参加したが、その内訳は国内5社・外資系2社ということであった。

 結局、外資アレルギーもあって国内の投資会社が落札したが、経営は無理ということで辞退してしまったため、年明けに2回目のプロポが実施された。

 その結果、台湾の元大グループが2.5億円で落札した。

 地域経済の活性化・市民の雇用確保等の美辞麗句を並べたものの、10ヶ月位で中国系ファンドに12.5億円で売却。

 わずか10ヶ月で10億円も抜いたのは流石と言いたいが、適正価格とは一体何であるのか、考えさせられた。

 買収した中国系ファンドは、スキー場・ホテル経営に意欲的に取り組んできたものと思われるが、コロナ騒動であえなく頓挫。

 その後破産の申し立てがなされたが、今後どのように処理されていくのかが注目される。

 いずれにしても、外資が絡むと国内における適正価格は意味を持たない。

 言葉を換えれば、100円ショップにしか行けない客と、ブランドショップにしか行かない客の感覚の差と言えるのかもしれない。

 1億円をハシタ金と考えられる人と、今日・明日のメシをどうするかしか考えられない人の差は大きい。

 不動産は移動することができないので、国外の買い手の懐事情で価格は大きく変動することになる。

 地元感覚で高い安いのと騒いでも、所詮貧乏人の戯れ言である。
2024.02.29 16:55 | 固定リンク | 鑑定雑感

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