パラサイト北海道「アジアの中の北海道」 ~ Vol.10
2023.04.26
VOL.10 農業移民のススメ

 人口減少から大量に退職する団塊の世代の移住を目指して、道内の過疎市町村は色々と智恵を絞っている。

 しかし、退職世代の移住に成功したとしても、せいぜい後20年程度であり、しかも2030年までに減少するであろう100万人規模の穴埋めはできない。

 アメリカは、戦前も戦後も一貫して移民を受け入れ、人口構造が極端に偏らないようにしており、その戦略的な思考は驚嘆に与する。

 日本は、戦前及び戦後の一時期に南米に大量の移民を主導してきたが、受入れ国の農地は劣悪な環境の未開地で、移民のほとんどは失意のうちに開拓地を離れ、辛酸を味わっている。

 時は流れ、経済大国となった日本に、日系2世・3世が祖父母の国に出稼ぎにきているが、都会暮しとのギャップに問題を起す者や道を誤る者も多い。

 考えてみれば、集団就職した団塊の世代も東京は生き馬の目を抜く恐ろしい所だと聞かされ、オッカナビックリ東京に出たが聞くと見るとは大違いで、誘惑の多い都会の魔力にとりつかれ、人生を誤った人も多い。

 南米から来た日系2世・3世も、おそらく同じような感想を持っているだろうと思われる。

 いきなり都会に出るような出稼ぎは、すぐにお金になるものの気苦労も多く、また地域のコミュニティに溶け込むのも難しいものと思われる。

 他方、北海道は深刻な人口減少に悩まされており、札幌を除くと誘惑の多い大都会はほとんどなく、また、耕作放棄された農地も年々増加している。

 人口減少と耕作放棄された農地対策・過疎化対策を一挙に解決する方法として、日系2世・3世の農業移民を検討してはどうであろうか。

 北海道の農地は、農業インフラの整備は終っており、開拓の苦労はない。

 また、農家住宅・農業倉庫・農業機械も余っている。

 どうせ買手も借手もいないのであるから、3~5年位は無償で貸付し、農業経営が軌道に乗ったら小作料をもらうなり、買取ってもらってはどうであろうか。

 後継者のいない農家は、これらの農業移民に営農指導することに生きがいを見つけられるであろう。

 農業移民は田舎暮しであるから、都会の誘惑に負けて身を滅ぼすことも少なく、何より地域のコミュニティ社会に取り残されることもないと思われる。

 日系2・3世以外の移民は、人種問題や文化ギャップ等からあまり賛成はできない。

 したがって、日系2・3世に限って農業移民を計画的・大量に受け入れてはどうであろうか。

 毎年5万人の移民を受け入れても、20年で100万人である。

 毎年5万人の移民は到底不可能であるから、思い切った移民政策をとったとしても、人口減少は不可避である。

 北海道における人口問題に対応するためにも、できるだけ早く農業移民のあり方について検討すべきものと考える。
2023.04.26 16:05 | 固定リンク | 鑑定雑感

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