パラサイト北海道「アジアの中の北海道」 ~ Vol.9
2023.04.20
VOL.09 アジアのリゾート地として

 長期ヴァカンスが定着しているヨーロッパやアメリカでは、夏期ともなると多勢の人々がスイス・イタリア・イギリス北部・地中海沿岸・エジプト等へ出かける。

 日本には残念ながら長期ヴァカンスを楽しむ生活習慣や法制度は定着しておらず、相も変わらず安近短の休暇でお茶を濁している。

 日本人は、今もエコノミックアニマルなのであろうか。

 残念ながら?団塊の世代が第一線で働いていた時代とは異なり、週休二日制はほぼ定着し、その一方で国民の祝祭日はやたら増えている。

 その結果、日本人は一般的には年間せいぜい230日前後しか働いていない。

 公務員は、有給休暇をほぼ100%消化するため、年間労働日数は200日程度で、年間5.5ヶ月も休んでいるのである。

 一般企業では2日働いて1日休み、公務員は1.5日働いて1日休んでいるのである。


 これでは休んでいないとは言えないであろう。


 日本人としては、長期ヴァカンスは夢のまた夢であるが、休日日数では既に欧米人並みとなっている。

 にもかかわらず、充足感がないのは何故だろうか。


 それは、休み方が悪いからである。


 こま切れの休みでは、休暇の過し方を考えることはできない。

 子供に毎日500円の小遣いを上げても、ジュース・食べ物で消えてしまうだろう。

 しかし、1ヶ月まとめて1万5千円をあげれば、子供達もそのお金の使い方を考える。

 休暇もこれと同じで、こま切れの休みでは結局労使双方にとってほとんど意味がないどころか、無益でもある。

 ゴールデンウィークの交通渋滞をみると、環境負荷の面からはマイナスでもある。

 本来的には国民の祝祭日は最小限にとどめ、有給休暇で対応する方が内需拡大の上からもベターと考える。

 日本のリゾートが破綻したのも、つまるところ日本の休暇制度の欠陥に由来すると思われる。

 現行のままでは、長期滞在型のリゾートは発展しないであろう。


 しかし、アジアに目を向けると、北海道のリゾート地としての優位性が見えてくる。


 アジアのニューリッチ層やスーパーリッチ層が、避暑や冬期リゾートを楽しもうとすれば、ヨーロッパや北米に行かなければならないことは、先に述べた通りである。

 しかし、そこは白人系社会であり、また地理的にも遠く、時差の問題もある。

 更に地球温暖化現象から、かつての避暑地も暑くて避暑にならなくなってきている。

 しかし、アジア圏における北海道は、地理的にも近く時差も少ない。

 食べ物も共通するところがあり、白人社会でもない。

 更に四季があり、温泉もあり、空からのアクセスもある。

 また、休暇の取り方も日本と異なり、長期滞在型の可能性が期待できる。

 北海道はヨーロッパや北米にあるようなスーパーリッチのための高級避暑地や別荘地はないが、自然的条件等は十分にあると考える。

 人口減少時代に国内需要を頼みにすることはできない。

 だとすれば、アジアのスーパーリッチが長期滞在出来るようなリゾート地が、北海道に一つ位あってもいいのではないかと考える。

 北海道は、北米やヨーロッパのリゾート地と互角に勝負できる条件を備えている。

 余談になるが、韓国・台湾からも道内ゴルフ場へ来る時代である。

 また、オーストラリアからスキー客が来て、ニセコ地区の発展が期待されているのは周知のとおりである。

 アジアからスノーモービルを楽しむために来道する人は多く、スノーモービル場が不足しているとも聞いている。

 夏・秋・冬と楽しめる北海道は、アジアのニューリッチ層やスーパーリッチ層から熱い視線を送られている。

 北海道は、アジア有数のリゾート地として発展する可能性は極めて高い。

 したがって、アジアからの目線で高級リゾート開発や既存施設の再構築を行うことが望まれる。
2023.04.20 09:00 | 固定リンク | 鑑定雑感

- CafeLog -