相互信頼社会から相互不信社会へ ~ Vol.1
2022.11.24
VOL.01 振り込め詐欺

 昨今、振り込め詐欺もグローバル化しつつある。

 また、その手口も高度化しており、高齢者を中心にその被害は一向に減少する様子も見られない。

 高齢者の方もテレビ等でその情報を知っている筈であるが、自分だけは大丈夫と気にもしないせいか、相も変わらずまんまと振り込め詐欺に引っ掛かってしまう人が後を絶たない。

そもそも、自分だけは大丈夫と思うこと自体が老化の証かもしれない。

あまり年のせいにしたくはないが、それにしても振り込め詐欺がこれ程流行するとは、誰も想像しえなかったのではと思われる。

息子の交友関係はともかく、息子の声の判別ができないとは、一体どういうことなのであろうか。


ところで、江戸時代や明治頃までの日本は、外国人から見れば礼儀正しく正直者が大半で、金銭的にも執着心が無く、落とし物・忘れ物が紛失することは滅多になかったようである。

 「日本人は外国人にどう見られていたか」(三笠書房・知的生き方文庫)によれば、「外国人が称賛する日本人の国民性の一つに「実直さ」がある。

 「日本で財布を紛失しても、そのまま届けられるというのが最たる例だ。」とし、1877年(明治10年)から三度にわたって日本を訪れたエドワード・S・モースの話を紹介している。

「私は決して札入れや懐中時計の見張りをしようとしない。鍵をかけぬ部屋の机の上に、私は小銭を置いたままにするのだが、日本人の子供や召使いは一日に数十回出入りしても、触ってはならぬ物にも決して手を触れぬ」(日本その日その日)と正直さを褒めている。

また、三千万人の国民の住家に錠も閂も戸紐も―いや、錠をかけるべき戸をもたない。

 と紹介している。

 この本によらず、江戸期から明治期に来日した外国人の多くは、日本人のこのような国民性を称賛している。

 あれから百年以上経過した昨今の日本を見るにつけ、暗澹たる気分に陥るのである。
2022.11.24 16:00 | 固定リンク | 鑑定雑感

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