不動産のグローバル化と道内の取引事情 ~ Vol.6
2024.03.07
VOL.06 グローバルマーケットとドメスチックマーケットの相違

 前述のように、1億円をハシタ金と言える人の行動パターンは、貧乏人には理解できない。

 彼らは予算の制約がないので、安いから買うのではなく、欲しいから買うのである。

 その時に地元感覚の価格は、何の目安にもならない。

 比較対象となるのは、世界中にある同種の不動産で、自分が興味のある国との比較でしかない。

 ニセコ地区も、高い高いと思っても、それは地元感覚である。

 この主の物件を扱っている人の話によれば、ニセコ地区の物件はカナダのウィスラー、スイスのサンモリッツ等の高級リゾート物件との比較であるので、高いということはないということであった。

 個人的には、ウィスラーにもサンモリッツにも行ったことがないので、高い安いの比較もできない。

 サンモリッツの物件をポケットマネーで買える人から見れば、世界中の同様の物件は安いということになるものと思われるが、その人からみれば高い安いではなく、欲しいか欲しくないかだけのことのようである。

 このような人に、地元感覚で適正価格はどうあるべきかと問うこと自体がナンセンスということになるのかもしれない。

 いずれにしても、このような富裕層の購買動機は高い安いではなく、欲しいか欲しくないか、それも自分の財布の中身との相談ということなので、地元感覚の価格のベンチマークはあまり意味を持たないということになるのだろう。

 尚、富裕層は税対策としてタックスヘイブンにペーパーカンパニーを所有していることが多く、大半の不動産はペーパーカンパニーの所有となっているようである。
 

(2021年3月 全日本土地区画整理士会北海道支部会報誌第31号/「不動産のグローバル化と道内の取引事情」)

2024.03.07 09:27 | 固定リンク | 鑑定雑感

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