パラサイト北海道「北海道における2007年問題と2030年問題」 ~ Vol.1
2022.12.15
VOL.01 2007年問題の背景

 2007年とは一言で言えば、団塊の世代の去就の問題である。

 ところで、日本の驚異的な経済成長とそれに裏打ちされた土地神話は、つまるところ日本の人口構造が作り出したものと考える。


敗戦の焦土に残ったのは、戦後生まれの子供達である。

 消耗品として扱われた人間が敗戦により消耗品ではなくなり、中国・満州からの帰還者が何もない国土に満ちあふれたのである。

 特に北海道は広大な未開地があった為、開拓と称して帰還者が全道各地に入植している。


この団塊の世代の成長によって旺盛な消費需要が発生し、これが生産を促し、その結果工場労働者の所得が増加して更なる消費が発生拡大した。

 これにより従来にも増して生産は拡大し、やがて国内で消費しきれない生産は海外に目を向け、とどまることのないと思われた高度成長を続けてきたのである。

しかし、人間に無限の成長がない以上、消費が無限に拡大するはずもなく、無限の経済成長はあり得ない事になる。

 経済活動の基本は人間であり、生産については生産設備をロボット化する等して人間が関与する工程を減らすことは出来ても、消費を機械化することは出来ない。

 したがって、経済成長にも限度があるのは自明の理である。

人為的な引き金によりバブル経済は崩壊し、経済は一転して低成長からマイナス成長に陥っているが(もっとも昨今は一部の地域で持ち直してはいるが)、考えてみれば日本の人口構造からすれば遅かれ早かれ、ゼロ成長・マイナス成長になるのはローマクラブの提言を待つまでもなく、既定の路線と言わなければならない。

経済成長を支えた団塊の世代も老境にさしかかり、これ以上消費するにも消費出来ない状況にある。

 若い時と同じように暴飲暴食し、朝方まで遊び、ファッションに金をつぎ込んだりして、これまで以上に消費を支えることは出来ない。

 まして、企業のリストラ等による所得の減少、増税による可処分所得の減少、年金・医療問題等をかかえる中で、景気の地域格差から大量の失業に悩まされるに至っては、消費を節約しても消費を拡大することなど、逆立ちしたって無理というものである。
2022.12.15 16:00 | 固定リンク | 鑑定雑感

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