長期人口推計と現状維持バイアス ~ Vol.1
2022.09.01
VOL.01 長期人口推計について

人口問題研究所は、2018年3月に2045年の長期人口推計を公表した。

 これによると、2015年の総人口127,095千人が2045年には106,421千人と20,674千人、率にして16.3%の人口減少を予測している。都道府県別にみると、30%以上の人口減少となるのは東北地方に集中しているが、高知県も仲間入りしている。

 尚、30%以上の人口減少率と高齢化率のワースト5は下表のとおりである。





ところで、前記の推計をみると、東京は2045年でも現在の人口を維持すると予測されている。
 また、2045年の高齢化率をみると、高齢化率が40%を超えるのは19県で、秋田が最大で最小は東京の30.7%となっている。
 さらに三大都市圏には約54%の人口が集中し、そのうち首都圏には約32%の人口が集中すると予測されている。

これらの状況をみると、将来とも大都市圏への人口の一極集中は避けられそうもないことになる。
 ということは、それ以外の地域は過疎化が尚一層進み、少子高齢化と相まって、地方自治は有名無実化する可能性が高い。
 戦後、占領政策により地方自治制度が確立されたが、100年もしないうちに地方自治制度は崩壊する可能性が高い。

行き過ぎた中央集権が地方の自立性を損ねる一方、政策の方向性が結果として大都市への集中を引き起こしたのではと思っている。
 経済合理性を考えれば、地方の過疎地は無い方が良いとしか言えないのに、選挙対策から甘い言葉をかけ、権力の保持に汲汲とした結果で、選挙民にもその責任の一端はあると思われる。

このような中で、国会議員の定数増法案が成立したが、急激な人口減少が予測され、地方と大都市の格差は拡大しても縮小することがない中での定数増の意味するところを良く良く考える必要がある。
2022.09.01 13:37 | 固定リンク | 鑑定雑感

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