鑑定評価に当たっては、対象物件の確認・確定が大前提となる。
ところで、都市部における大型物件の評価依頼については、通常、依頼者の方で対象物件の確認・確定に必要な資料を用意してくれることが多い。よほどのことがない限り、不動産鑑定士の方で自力で全ての調査することはない。与えられた資料を見て、ハッキリしない点については、場合によっては評価条件を付して評価することが多いので、確認・確定はある意味で気が楽である。この場合、基本的には鑑定評価書という名の書類の作成業務に近いものとなり、物件調査のミスはほとんど問題にならない(依頼者が問題にしない)。
しかし、依頼者が一般市民である場合、当然には確定・確認に必要な資料は出てこない。特に、競売評価の場合は、所有者・債務者が気持ち良く調査に協力してくれることは少ない。また、中にはどうしても家を手放したくないという理由から、とにかく非協力を貫く人もいる。となると、評価人たる不動産鑑定士は、これまでの知識・経験をフル稼働させて、確定・確認に必要な資料を収集しなければならないことになる。そういう意味では、一般鑑定と競売評価では、調査に対するスタンスや責任の度合いは大きく異なることになる。
前置きが長くなったが、不動産調査に当たっては、役所調査は欠かせない。
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