鑑定雑感 不動産鑑定士 堀川裕巳 コラム
 
◆ ヒラメと徒弟制度と実務収集 ◆
 
VOL.01 減点主義の功罪 VOL.02 法令遵守とマニュアル VOL.03 ヒラメと法令遵守
     
VOL.04 実務修習と徒弟制度  
 
◆ ホモ・エコノミクスとゴルゴ13 ◆
 
VOL.01 鑑定理論と不動産取引の現場 VOL.02 現実社会と標準的経済学の世界 VOL.03 経済は感情で動く
     
VOL.04 ヒューリスティクスによるバイアス VOL.05 ホモ・エコノミクスとゴルゴ13  
 
◆ 組織は最大犠牲点に向かう ◆ ー 本当は恐い日本人 ー
 
VOL.01 東日本大震災と日本人の行動 VOL.02 村八分という村の掟 VOL.03 日本における村社会
     
VOL.04 本当は恐い日本人 VOL.05 組織は最大犠牲点へ向かう  
 
◆ 節約は美徳か悪徳か? ◆ ー 蜂の萬話と相互律が示唆するもの ー
 
VOL.01 絶対的なるもの VOL.02 相互律について思うこと VOL.03 節約は美徳か悪徳か
 
VOL.04 蜂の萬話ー私悪すなわち公益 VOL.05 蜂の萬話ー私悪すなわち公益2  
 
◆ 七面鳥と不動産鑑定士 ◆ ー ガリレオとブラックスワンの世界 −
VOL.01 鑑定評価の科学性 VOL.02 合理性と数学 VOL.03 ブラックスワンの世界
 
VOL.04 予測可能と予測するのは可能か VOL.05 千と一日目の七面鳥
 

◆ ヒラメと徒弟制度と実務修習 ◆

 

VOL.03 ヒラメと法令遵守

 法令遵守と業務マニュアル化は、日本国内に大量のヒラメ型人間を増殖させたが、これは近代化の副作用なのかもしれない。法令遵守とマニュアル化は、業務の標準化という意味ではある程度は避けられない。

 しかし、結果として法令遵守という形で上位下達が深く広く浸透し、ヒラメ型人間を増殖させてしまった。ヒラメ型の人間は、上ばかりしか見ない。下級機関・部下・市民は上級機関・上司・権力者の顔色を窺い、貧乏人は金持ちにへつらい、強者は弱者をいじめる等、その弊害は目を覆うばかりである。日本人の品格は一体どこへ行ったのやら……。

 ところで、このような時代にこのことを憂い、『法令遵守が日本を滅ぼす』という本を買いた元検事の郷原信郎教授は、法律家として法令遵守の意味を説き警鐘を鳴らしているが、社会に大きく響いていないのは残念というほかはない。ヒラメ型人間の多い社会では、聞く耳を持っていないということであろうか。自分の頭で考えないヒラメが多いということは、権力者・上級機関にとっては都合がいいのであろうが、少子高齢化・人口減少等を考えると、ヒラメは食い尽くされ、やがて日本は大きく衰退するほかはないのであろう。日本脱出の気運が広がることのないよう、祈るばかりである。

 
  VOL.04 実務修習と徒弟制度