法令遵守と業務マニュアル化は、日本国内に大量のヒラメ型人間を増殖させたが、これは近代化の副作用なのかもしれない。法令遵守とマニュアル化は、業務の標準化という意味ではある程度は避けられない。
しかし、結果として法令遵守という形で上位下達が深く広く浸透し、ヒラメ型人間を増殖させてしまった。ヒラメ型の人間は、上ばかりしか見ない。下級機関・部下・市民は上級機関・上司・権力者の顔色を窺い、貧乏人は金持ちにへつらい、強者は弱者をいじめる等、その弊害は目を覆うばかりである。日本人の品格は一体どこへ行ったのやら……。
ところで、このような時代にこのことを憂い、『法令遵守が日本を滅ぼす』という本を買いた元検事の郷原信郎教授は、法律家として法令遵守の意味を説き警鐘を鳴らしているが、社会に大きく響いていないのは残念というほかはない。ヒラメ型人間の多い社会では、聞く耳を持っていないということであろうか。自分の頭で考えないヒラメが多いということは、権力者・上級機関にとっては都合がいいのであろうが、少子高齢化・人口減少等を考えると、ヒラメは食い尽くされ、やがて日本は大きく衰退するほかはないのであろう。日本脱出の気運が広がることのないよう、祈るばかりである。
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