「蜂の萬話の主意は、富裕で繁栄する国民であることを欲し、そのような国民として享受できるあらゆる恩恵を驚くほど貪りながら、悪徳や不都合に何時もブツブツ言って批難ばかりしている人々は不合理で愚かであることをあばく点にあるからである。そのような悪徳や不都合はこの世のはじめから今日まで、国力や高雅において同時に有名であったあらゆる王国や国家から切り離すことができないものであった。」
18世紀初頭に書かれたこの本の内容は、300年を経ても些かも色褪せはしていない。我々は相反するあらゆる美徳と悪徳と不都合が渾然一体となることによって社会が成り立っていることをよく理解するべきであると思うのである。
部分の理屈を全体にあてはめ、合理性の仮面をかぶって情緒的に行動し、非難と批判の区別もできず、意見の異なる者を排除することは、つまるところ自己否定につながることを肝に銘じなければと反省している。
東日本大震災によって図らずもこの国の混乱を見てしまったが、これを契機にこの国のありさまについて改めて考えてみた。
バーナード・マンデヴィルや難波田先生が示唆するように、我々はもっと事の本質について哲学的に考えることが必要だと痛感した。
最後に、現代の我々にとっても耳の痛いバーナード・マンデヴィルの箴言をご紹介する。
1.敵対者を論破する一番の方法は中傷である。
2.他人のアラ捜しばかりをしている人々は、我が身を見つめることによって自分たちにも多少の覚えのあることに気づき、毒づくのが恥ずかしくなるだろう。
3.安楽や慰安がとても好きで、繁栄する国家がもたらす利益を貪る人々は、その大きな分け前にあずかるには甘んじて不都合をも受け入れなければならないと理解すべきである。
世迷い言が多くなったが、ご容赦願いたい。東日本大震災の被災者に合唱。
ー生半可亭雲散苦斉ー
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