トウキョウイズジャパン ― 田舎不動産の独り言 ― Vol.1
2021.06.25
VOL.01 田舎不動産の独り言

我輩は田舎の不動産である。
それも、北海道の過疎地の不動産である。

東日本大震災以降、都市部の不動産の取引が大分ガタガタしてたようだが、我輩にとっては別世界の話題である。
 
この国の話題は大抵が大都市中心である。
もっとも、田舎には人が少ないし、余程の大事件がなければ興味を持ってはくれない。
東日本大震災のお陰で、都会の人達も田舎の現状に少しは興味を持ってくれたようであるが、それも何時まで続くのやら……。

ところで、我輩の存在価値は我輩のご主人様である人間様次第であるが、そのご主人様は少なくとも貧乏人ではない。
これまで、ご主人様の気紛れで随分翻弄されてきたが、我輩の問題はどうやら今世紀には終わりを告げるのではと思っている。

何故かって?

それを訊くのはヤボと言いたいが、我輩の問題はご主人様である人間様の問題であるから、田舎に住む人間がいなくなれば問題の起こりようがないということである。

住宅街に熊が出たと言って大騒ぎしているが、人間が居るから問題になるのであって、人里離れた山の中を熊が歩いていたって問題にはなりようがない。
熊にすりゃ、はた迷惑な話である。

これまで取り沙汰されてきた土地問題は、所詮都会を中心とする問題で、人がいなけりゃ問題にすることもできない。

境界争い、日照権等の環境問題や土地利用の問題は、全てご主人様である人間様の問題である。


北海道はもともと明治維新前までは、松前藩の武士とアイヌが若干居た位で、北海道の大半は人跡未踏の原生林等の繁る山林・原野等で、現代的な意味における所有者はいなかったのである。

このまま人口が減少し続けると、2100年頃には一部地域を除いて人間はいなくなり、明治維新前夜に戻るのであろうから、我輩はもはや問題にされることもなくひっそりと暮らすことになるのであろうと思っている。

その方が幸せなのかも?
2021.06.25 16:55 | 固定リンク | 鑑定雑感

- CafeLog -