DCF法はアートな世界? Vol.4
2020.07.22
VOL.04 長期連続の大赤字の収益不動産も甦らせるDCF法マジック 

 これはある信頼できる人から聞いた話である。

 彼の話によれば、長期連続の大赤字を出し続けている不動産についてDC法を適用し、見事黒字のキャッシュフロー表を作成し、それに基づいて極めて高い評価を行なった評価書を見たとのことであった。
 
 彼はその不動産を良く知る立場にいたため、関係者からその評価書を検証して欲しいと依頼され、図らずもこのような評価書を目にしたということであった。
 残念ながら私の手元にその評価書の写しはないが、後学のために一度は見てみたいと思ったものである。

 私にはDCF法を十分に使いこなす能力がないのでDCF法について論評する立場にないが、それにしても赤字不動産を甦らせるDCF法に、一体どれほどの精度や信頼性があるというのであろうか。
 私には不思議の国の出来事としか思えない。
 
 ところで、ここまで極端な例はあまりないと思うが、賃料設定を一般相場より高めにしたり、低めにしたり、費用項目を適当に調整したりしている評価書をたまにではあるが目にすることはある。

 この傾向は、特に地元以外の鑑定士に多く見受けられる。

 東京から日帰りで調査(評価物件だけ見て帰る?)し、評価しているようであるが、地元にいてもなかなか大変なのにスゴイ能力をお持ちの鑑定士がいるものだと感心する他はない。

 話を元に戻すが、一体こんな高い賃料を払える人が地元にはいるのだろうかと他人事ながら心配しているが、それで被害者が出る訳でもないので如何なるキャッシュフローを予測しようが売買が先にありきの評価で誰も迷惑しないのであるから関係ない、ということであろうか。
2020.07.22 09:54 | 固定リンク | 鑑定雑感

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