DCF法はアートな世界? Vol.1
2020.07.02
VOL.01 サブプライムローン問題とDCF法

 ここ1年・2年、DCF法による収益価格についてあまり考えることなく過ごしてきた。

 ところで、不動産証券化はアメリカが発祥地のようであり、DCF法もアメリカで発明・改良され今日にきているようである。
 不動産証券化にあたって必須の評価手法がDCF法であり、DCF法による評価はこれまでの評価と異なり、あたかもかなり精度が高く?信頼性も高い?と喧伝され、鑑定士もDCF法のマスターが強く要請されたことをサブプライムローン問題を契機に思い出した。
 明けてもくれてもDCF法と大騒ぎし、鑑定評価の救世主のような持上げ方だったような記憶がある。

 私のような愚者はDCF法の先進国で長い歴史を持つアメリカの、しかも格付がAAAのサブプライムローンの証券化不動産がかくもあっけなく崩壊し、全世界に大きな影響を及ぼすとは考えてもみなかった。

 個人的にはアメリカの住宅ブームに胡散臭いものを感じてはいたが、不動産の証券化は不動産市場の活性化に寄与し、DCFによる評価でその信頼性はゆるぎないものであると数多の識者が言うものであるから、そんなものか、所詮田舎モンには関係ない、と気にもとめないでいた。

 しかし、サブプライムローンの破綻によってその影響は全世界に拡散し、証券化不動産の問題が露呈した。

 住宅ローンを証券化するにあたってアメリカでは不動産をどのように評価していたのかは判らない。
 しかし、日本のバブル崩壊を嘲笑い、ハゲ鷹ファンドと言われながらも日本の不動産市場でDCF評価によって不動産を買い叩き大儲けしたのは記憶に新しいが、その本家がこの様である。

 どうやらDCFによる評価も怪しいものだな、というのが田舎モンの実感である。
2020.07.02 09:49 | 固定リンク | 鑑定雑感

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