不動産鑑定士はエスパー!! Vol.3
2020.04.30
VOL.03 鑑定評価に必要とされる知識・経験について

鑑定評価の内容は、物理的なものから法律的なものまで多岐にわたっている。

 土地の評価に当っては、土木・測量・地質学・供給処理施設等に関する基本的な知識(座学)の他に、ある程度の現場経験(実学)、建物の評価に当っては、建築一般(木造・非木造・構造・特殊用途等)、建築法規、外構工事関係、搬送機、給排水設備、空調機器、消防設備、通信設備、解体工事等の基本的知識(座学)と、ある程度の現場経験(実学)が必要である。
 また、これ以外にも借地権のような権利の評価や賃料評価に当っては、民法等の司法に関する知識も必要である。

 公的評価関係では、固定資産税評価が一番難しい。

 標準宅地の鑑定評価は通常の鑑定評価であるから問題はないが、状況類似地域の区分から各筆評価までの一連の流れとその問題点を良く理解している不動産鑑定士は少ない。

 競売評価については全国で約1300人が従事しているが、その割合は全会員数の約20%である。
 約80%の不動産鑑定士は競売評価を経験する機会はほとんどないが、なんと東京ではもっと厳しく、東京の会員の約97%はその機会がない。
 また、大都市に居住する不動産鑑定士は純農地や純山林を評価する機会は、ほとんどないであろう。

 ところで、農地といっても水田・畑・果樹・牧場等に分類されるが、畑にいたっては作物の種類によっても収益性は大きく変化する。
 したがって、農地を評価しようとすれば、農作物全般の知識・土壌の知識等が必要となる。

 山林についても同様である。

 カラ松のようなチップの原料にしかならないものから、杉・桧のような価値の高い林木まで色々である。
 立木の種類や立木の量を把握することも大変である。
 林地の評価方法や林地の良し悪しを判断する為の土壌の知識も必要である。
 その他にも多様な知識・経験が必要と思われるケースは極めて多いが、その全てを経験することはほとんどできないものと考える。
2020.04.30 15:26 | 固定リンク | 鑑定雑感

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