ミディアムステイのススメ
2024.09.19
少子高齢化が進む中で、団塊世代の去就が注目されている。

 全国的には過疎化対策の一環として団塊世代の取り込みを図っている市町村は多い。
 本紙でも、日本版クラインガルテンの紹介をしている。

 北海道においても札幌近郊の町では農業を楽しみながら永住できるよう敷地規模約 600㎡程度の分譲地があり、分譲されている。
 これ以外にも過疎対策として一定期間居住することを条件に土地を無償提供するとか、道内の各市町村でもいろいろとチエを絞っている。
 いずれも永住を期待しているが、都会にいる団塊世代からみれば北海道の厳しい自然環境や病院がない、十分な公共交通機関がない、商業施設・娯楽施設がない等の社会環境等を考慮するといきなり永住は厳しいと考える人が多いのも事実である。
 過疎町村の都会にいる団塊世代への熱いラブコールにもかかわらず、過疎町村への永住希望者は前述の理由からなかなか増えていないのが実情である。
 このような中では、まずお試し期間であるショートステイから始めて、ミディアムステイ、そしてロングステイから永住へと、徐々に田舎暮らしに慣れていく他はないと思われる。

 ところで、農業だけで田舎暮らしを始めるのは容易なことではない。

 農業に関する知識もさることながら、意外と体力が追いつかないのが実感である。
 家庭菜園でも10坪が関の山である。
 これ以上になると機械装備が必要となり、なかなか片手間ではやっていけない。

 そこで、農業にかかわらず多様な趣味に対応できる田舎暮らしをサービスとして提供できれば、ロングステイないし永住は無理にしても、季節に応じてミディアムステイを楽しむことは可能と思われる。

 そこで北海道日高支庁管内の浦河町の取り組みを紹介することとする。

 浦河町は、えりも岬に近いサラブレッドの生産で有名な馬産地である。
 人口約1万5千人のこの町には、JRAの牧場がある他、馬に関連する施設が充実している。

 その一つが「うらかわ優駿ビレッジAERU」である。

 敷地面積は約 107haとゴルフ場並みの広さを誇り、その中にホテル・パークゴルフ場・乗馬施設があり、初心者から上級者までが楽しめる。
 特に施設周辺の自然の地形と景観を活かしたホーストレッキングコースは、中・上級者もきっと満足されるのではないであろうか。

 また、日高山脈の麓にあり、その雄大な自然の他太平洋に面し、魚釣りの穴場にも事欠かない。
 浦河町の気候は海洋性で、夏涼しく冬は温暖で、別荘適地でもある。

 そうはいっても、別荘を持つのは大変であることから、まずは乗馬であれ魚釣りであれ、趣味をお持ちの方には避暑を兼ねて4月から10月までのミディアムステイをおすすめしたい。

 特に当町では、移住対策の一環として「ちょっと暮らし」を実施しているので、この制度を利用してみてはどうであろうか。
 この制度は、空き教職員住宅を転用・利用したもので、2LDK~3LDK(約45㎡~80㎡前後)で家賃は月額12,000円~24,000円、1日 400円~ 800円で借りられるようである。
 このような制度は、全道で59市町村が行っているが、滞在日数は浦河町が全道一となっている。

 尚、浦河町役場の資料によれば、二地域居住者は2件・4名(平成19年)、移住者は平成17年度から平成20年度までで25件47名、生活体験参加者は平成18年から平成20年までに37件78名で、一人平均 2.5ヶ月間の滞在となっているとのことである。

 これからは各市町村においても、足元の自然資源等をじっくりと観察・掘り下げすること等により、他市町村と競合しない田舎暮らしの提案が望まれる。
 日本は四季に恵まれていることから、四季を通じてレジャー・趣味を楽しむことができる。
 適応力のある団塊世代がリタイア後の新しい生き方を示してくれるのではないかと期待される。

 最後に、浦河町にミディアムステイされた埼玉県のKEIKOさんの「デジタル絵日記」北海道で暮らしてみようを紹介したい。(浦河町役場HP「うらかわ暮らし絵日記」)

 この絵日記は生活体験者の目から書かれたもので非常に面白く、地元にいては気がつかないことも指摘され、参考になった。この「デジタル絵日記」や生活体験、特に乗馬や魚釣りに興味がある方は、是非浦河町移住促進対策室に相談してみて下さい。

(2009年6月)

2024.09.19 09:28 | 固定リンク | 鑑定雑感

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