地方のことは地方へ ― 平均値の落とし穴 ~ Vol.2
2022.01.06
VOL.02 平均値の落とし穴

 前述したように、平均値で物事を考えると、その対応を間違ってしまいかねないと思われる。
 問題を解決するためには、個別の問題か、それとも全体に共通する問題かを区別する必要があると考える。

 少子高齢化のような地域事情に相当異なる傾向がある問題は、平均像からは個別・具体的な問題解決の方向は、必ずしも見えてはこない。
 社会は平均値で考えられる程、単純ではないのである。

 前述した内容についても、それぞれの都道府県内の各市町村レベルでみると、全く違った世界が見えてくる。
 
 ところで、高齢化率と持ち家比率(2008年時点)をみると、高齢化率が高い地域と、持ち家比率の高い地域は、ほぼ連動しているようである。

 高齢化率と合計特殊出生率が高い佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島6県の平均持ち家比率は65.6%と、全国平均61.1%より約5%高いが、高齢化率が高く合計特殊出生率が低い地域(東北・山陰等日本海側沿いの地域が多い)をみると、持ち家比率が70%以上の県は11県あり、秋田を筆頭に富山・山形と続き、この平均は73.5%と突出しているが、高齢化率も28.1%と、全国平均よりかなり高い。

 但し、この11県の出生率の平均は、1.47と平均より若干高いが、このうち鳥取・島根は1.6前後と突出している。

 推測ではあるが、出生率が低く高齢化率が高い地域は、持ち家比率も高く、そのため空家の発生確率も非常に高くなるのではと危惧される。

 男性の平均寿命80.5歳、女性86.83歳(2014年度調査)を前提とすれば、少子化問題はともかく、高齢者を前提とする問題は、後10年程で自動的に解決されるのではと思われる。

 これらの地域では、後期高齢者が世を去った後に大量の空家が残されることから、空家対策法をもってしても、如何ともし難くなるのではと思われる。

 その一方、高齢者を対象とした各種サービス事業は縮小均衡を余儀なくされ、地域経済は崩壊するかもしれない。

 いくら地方創生とはいっても、前述のような県では手の打ちようがなくなり、縮小均衡から消滅への道を辿る自治体が増加するものと思われる。
2022.01.06 18:02 | 固定リンク | 鑑定雑感

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