トウキョウイズジャパン ― 田舎不動産の独り言 ― Vol.5
2021.07.21
VOL.05 国土政策審議会レポートにみる北海道 

当該レポートによれば、2050年の北海道では50%を超える地域が無居住化すると予測している。
市町村イコール地域ではないが、それにしても後38年で人の住むことの無い地域が50%を超えるのである。

もっとも、人口問題研究所の長期人口推計によれば、そのような予測結果は当然のことと思われるが、我輩は後10年~15年でこの流れがハッキリしてくるものと考えている。

ところで、ある地域が無居住化するとは、その地域の建物は全て空き家になるということである。

昨今は空き家条例を整備し、危険家屋は行政が取り壊し、その費用を所有者に請求するとしている。

しかし、実行性はあるのであろうか。

無居住化しつつある地域の地価は、二束三文にもならない。

住宅を取り壊しても、土地が売れる訳でもなく、大体が土地価格より取り壊し費用の方が高いのである。

更に問題なのは、このような地域の建物所有者は高齢化しており、取り壊し費用の負担ができない。
また、相続すると負の財産となるので、相続放棄されるのがオチである。

止めどもなく下落する地価、買手・利用する人のいない家屋が老朽家屋から廃屋になるのに、大して時間はかからない。
後40年弱で北海道中に廃屋銀座が出現するかもしれないと思うと、茫然とする他はない。

不動産は使ってなんぼの世界である。

住む人・使う人がいなければ、無用の長物である。

実際、道北のある市で、危険倒壊家屋を税金で取り壊した例がある。

もちろん取り壊し費用の方が土地代より高いので、所有者から寄附してもらったものの、費用は行政の持ち出しである。

仄聞するところによれば、所有者が高齢化し、資力がなく、また相続放棄等により放置されたRC造の家屋で行政の負担で取り壊さなければならない危険倒壊家屋は北海道全体で300棟弱にもなるとのことであった。

このような建物は今後加速度的に増加し、最早行政の手に負えないことになる。
そうなると、町を丸ごと放棄し、地方自治体が消滅する日が近いのかもしれない。

不動産の利用や価格がどうのこうのという議論は、所詮タイタニック号の1等船室にいる乗客の話で、3等船室以下の住人には何の関係もなく、淋しい限りである。

しかし、行き着く先は同じなのだから、つまるところ遅いか早いかだけの話で、気にすることはないのかもしれない。
2021.07.21 09:23 | 固定リンク | 鑑定雑感

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