DCF法はアートな世界? Vol.5
2020.07.30
VOL.05 指し値鑑定とストライクゾーン
鑑定という仕事を長年やってつくづく思うことは、不動産の価格が解らないから鑑定を頼むということは非常に少ないということである。
一般的には、価格は解っているがそれを確認したい、あるいは、自分の都合の良い価格を第三者に証明してもらいたい、というのがほとんどである。
例えば、取引当事者が合意している場合にその合意金額と異なる評価をすることは難しい。
何故なら、合意金額で評価しても当事者から評価が不当だという苦情はくることはないし、第一お金を払ってくれるのはその当事者だからである。
依頼者からお金をもらって依頼者の意に添わない評価をすれば、まずお金を払ってくれないであろう。
また、特別なこと(訴訟等)がない限り依頼者に合わせたところで被害者は出ないであろうし、トラブルに巻き込まれる心配もない。
それより何より、金払いの良い依頼者が次何時来るかわからない時に依頼者の意向を無視して仕事を謝絶することは、なかなかに難しいことだからである。
人はパンのみに生くるにあらずといっても、パンがなければ生きられない。
しかし、かといってパンばかりを追いかけると思わぬ落し穴に落ちるかもしれない。
依頼を受ける場合は不動産の調査・評価をする前に、まず依頼者本人を調査・評価しなければならないことになる。
ある程度依頼者の意向を汲んでやらないと仕事はまず来ない。
しかし依頼者の氏素性を解らぬまま意向に添うとトンデモない事件に遭遇するかもしれないので、依頼者の意向にどの程度添えるか、あるいは逃げた方が良いのか、依頼者の信頼性を見極める能力が必要となる。
私にはその能力がないので、一見のお客さんには原則として対応しない。
まあ、素っ気なく断れば評判が落ちるかもしれないので、相談には乗ることにしているが、個人の場合はよくよく話を聞くと評価するまでのこともないことが多い。
話が少し横道にそれたが、面識のある依頼者はそのほとんどが鑑定評価の使い方を知っているので、白紙の状態で評価を依頼しに来ることはない。
つまり、評価額の腹積もりが最初からあるので、依頼を受ける立場としては同業者や第三者から苦情がきた時に説明可能な範囲の価格(いわゆるストライクゾーン)であるかどうかを考えることになる。
ストライクゾーンからはずれていると思えば断る理由を捜し、ストライクゾーンの範囲にあれば引受けることになる。
しかしここで問題なのは、ストライクゾーンの判定である。
野球のように厳格なルールがあり歴史もあるゲームでさえストライクゾーンは審判によって微妙に異なるのが現実である。
野球に比較して鑑定評価のストライクゾーンの判定は極めて困難である。
鑑定評価のストライクゾーンは鑑定士によっても時代によっても異なるから、明確なストライクゾーンを示すことは困難である。
ここに鑑定士がつけ込まれるスキがある。
鑑定という仕事を長年やってつくづく思うことは、不動産の価格が解らないから鑑定を頼むということは非常に少ないということである。
一般的には、価格は解っているがそれを確認したい、あるいは、自分の都合の良い価格を第三者に証明してもらいたい、というのがほとんどである。
例えば、取引当事者が合意している場合にその合意金額と異なる評価をすることは難しい。
何故なら、合意金額で評価しても当事者から評価が不当だという苦情はくることはないし、第一お金を払ってくれるのはその当事者だからである。
依頼者からお金をもらって依頼者の意に添わない評価をすれば、まずお金を払ってくれないであろう。
また、特別なこと(訴訟等)がない限り依頼者に合わせたところで被害者は出ないであろうし、トラブルに巻き込まれる心配もない。
それより何より、金払いの良い依頼者が次何時来るかわからない時に依頼者の意向を無視して仕事を謝絶することは、なかなかに難しいことだからである。
人はパンのみに生くるにあらずといっても、パンがなければ生きられない。
しかし、かといってパンばかりを追いかけると思わぬ落し穴に落ちるかもしれない。
依頼を受ける場合は不動産の調査・評価をする前に、まず依頼者本人を調査・評価しなければならないことになる。
ある程度依頼者の意向を汲んでやらないと仕事はまず来ない。
しかし依頼者の氏素性を解らぬまま意向に添うとトンデモない事件に遭遇するかもしれないので、依頼者の意向にどの程度添えるか、あるいは逃げた方が良いのか、依頼者の信頼性を見極める能力が必要となる。
私にはその能力がないので、一見のお客さんには原則として対応しない。
まあ、素っ気なく断れば評判が落ちるかもしれないので、相談には乗ることにしているが、個人の場合はよくよく話を聞くと評価するまでのこともないことが多い。
話が少し横道にそれたが、面識のある依頼者はそのほとんどが鑑定評価の使い方を知っているので、白紙の状態で評価を依頼しに来ることはない。
つまり、評価額の腹積もりが最初からあるので、依頼を受ける立場としては同業者や第三者から苦情がきた時に説明可能な範囲の価格(いわゆるストライクゾーン)であるかどうかを考えることになる。
ストライクゾーンからはずれていると思えば断る理由を捜し、ストライクゾーンの範囲にあれば引受けることになる。
しかしここで問題なのは、ストライクゾーンの判定である。
野球のように厳格なルールがあり歴史もあるゲームでさえストライクゾーンは審判によって微妙に異なるのが現実である。
野球に比較して鑑定評価のストライクゾーンの判定は極めて困難である。
鑑定評価のストライクゾーンは鑑定士によっても時代によっても異なるから、明確なストライクゾーンを示すことは困難である。
ここに鑑定士がつけ込まれるスキがある。