不動産鑑定士はエスパー!! Vol.1
2020.04.16
VOL.01 証券化対象不動産の評価とER(エンジニアリングレポート)

 鑑定評価基準の改正に伴って、証券化対象不動産の鑑定評価について全国的に義務研修が行なわれたことは記憶に新しい。
 その中で特に気になったのはERの扱いである。

 留意事項によれば、ERの活用に当っては不動産鑑定士が主体的に責任を持ってその活用の有無について判断を行うものであることに留意する必要があるとし、対応方針等として、不動産鑑定士はERを鵜呑みにするのではなく、活用に際しては独自の分析を加え判断するというプロセスを踏む必要があるとしている。

 一見するとそこまでしなければならないのか、大変だなと感じるが、良く考えるとトンデモないことだと思わざるを得ない。
 何故なら、不動産鑑定士の多くは文科系の出身者であり、建物や設備の詳細なことはほとんど解らないと思われる。
 仮にある程度解ったとしても、実際の修繕・修理等の経験がないので劣化の程度や修繕・修理の要否、費用等は解るはずもない。
 したがって、ERをそのまま信頼する他はなく、不動産鑑定士が独自に精査するなんて夢の又夢である。

 聞くところによれば、ERの費用だけでも 100万円単位だというのに、技術者でもない不動産鑑定士が安い鑑定報酬の中でERの内容についても検討せよというのであるから、ただ絶句するばかりである。
 基準が要求するレベルに対応しようとするなら、不動産鑑定士それぞれがER調査機関で数年実地訓練を受けなければ無理と思われる。
 実地訓練を受けなくても教科書の活字だけで対応可能というのなら、専門調査機関によるERは不用であろうし、またERに要する費用も極めて少額で済む話である。
 現場での実地訓練を受けずにERの内容を精査するというのは机上の空論、と言ったら言い過ぎであろうか。
2020.04.16 14:16 | 固定リンク | 鑑定雑感

- CafeLog -