鑑定雑感 不動産鑑定士 堀川裕巳 コラム
 
◆ ネットサーフィン鑑定 ◆ ー 鑑定評価書作成業(?)の行方 ー
 
VOL.01 リアルな世界の不動産と多様な在り方  
     
 
 

◆ ネットサーフィン鑑定 ◆
ー鑑定評価書作成業(?)の行方ー

 

VOL.01 リアルな世界の不動産と多様な在り方

実物不動産はリアルな世界である。

リアルな世界にあるから、教科書的にはありえないことが多く見られる。
都市部の土地であっても、登記上ある不動産が現実に存在していなかったり、場所がわからなかったり、位置が違っていたり、面積が極端に違っていたり、とそのあり様はさまざまである。

田舎の土地は相隣関係が希薄なことから、あり様はさらに多岐にわたる。

これに所有権以外の権利や建物が加わると、そのあり様は幾何級数的に増加する。
人間の命には限りがあるので、これだけ複雑・多岐にわたる不動産のあり様の全てを現実的に体感することはできない。
人伝に聞いて、ああそういうこともあるのかと感心する他はないが、自分がその場面に出会ったらどうしようと悩むことだけは間違いなさそうである。

いずれにしても、日々何気なく目にしている不動産について調査し、評価しなければならないという視点で現地に臨む場合は、それなりの事前調査と準備が必要となる。
単に書類や図面だけでは、リアルな世界の不動産の真相にせまることはなかなかできない。

競売不動産の評価に携わっていない人には大変申し訳ないが、筆者にとって競売不動産の調査・評価はこれらの多様な不動産のあり様を体感することができる絶好の機会となっている。

競売不動産の調査・評価を通じて、日本における国土情報のインフラ整備の遅れを痛感しているが、それ以外にも行政情報の内容やその取り扱い方がバラバラで、とても近代的な法治国家とは言えないなと感じたことも、二度や三度ではない。

 
   
 
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